1回限りの手技で 脳卒中リスクを減らすことができる

WATCHMAN

東部病院弁膜症治療センター

治療実績21
(2022年6月現在)
写真
WATCHMAN 祝 20症例到達
循環器内科、脳神経内科、心臓血管外科、麻酔科、カテ室スタッフ(看護師、放射線技師、臨床工学技師)のチームワークのおかげです!
今後も地域の患者さんに、この治療を届けて参りたいと思います。
ABOUT

WATCHMANとは

脳卒中のリスク低減が
評価される
WATCHMAN

WATCHMANはワルファリンやそのほかの抗凝固薬(エリキュース、イグザレルト、リクシアナ、プラザキサ)を長期間服用できない非弁膜症性心房細動患者さんに対する代替療法です。脳卒中リスクをそれらの抗凝固薬と同等に低減することに加えて、それらの投与を中止することで出血のリスクを低く抑えることができます。

WATCHMANのメリット

  1. 抗凝固薬を長期間服用できないNVAF(非弁膜症性心房細動)患者さんに対して、ワルファリンと同等の脳卒中リスク低減効果が期待できます。
  2. 抗凝固薬による長期出血リスクを低減することが期待できます。
  3. 1回限りの手技で完了します。
PATIENT

適応患者さん

これは適応患者像をイメージしていただくための例示であり、実在の患者さんの症例ではありません

Case1

68歳 女性

消化管出血の既往

ワルファリン5mgを服用しているが、過去に抗凝固療法による重篤な消化管出血を経験し、今現在も出血に悩んでいる。

患者さんの状態

職業
定年退職者、ボランティア
病状
非弁膜症性心房細動、高血圧、消化管出血
CHA2DS2-VASc スコア
4
Case2

80歳 男性

出血リスクが高い

現在、抗凝固剤であるリバーロキサバン15mg/日を内服している。転倒による股関節骨折および脳挫傷の既往がある。担当医は外傷による二次性の大出血リスクが高くなっていると考えている。

患者さんの状態

職業
よく孫の世話をする祖父
病状
非弁膜症性心房細動、うっ血性心不全、高血圧、糖尿病
CHA2DS2-VASc スコア
5
Case3

72歳 女性

併存疾患により出血リスクが高い

過去に冠動脈疾患によるPCI歴があり、ステント留置を行ったことで、現在、抗血小板薬を2剤服用している。そのため、担当医師は抗凝固薬との併用で出血リスクが高いと考えている。

患者さんの状態

職業
定年退職者、飛行機で飛び回っている
病状
非弁膜症性心房細動、高血圧、PCI歴(ステント留置)
CHA2DS2-VASc スコア
4

あなたは適応患者さん?
セルフチェック

TECHNIQUE

留置手技

WATCHMANの留置は
どのように実施されるのでしょうか

非弁膜症性心房細動の患者さんでは、脳卒中の原因となる血栓の90%以上が左心房に起始する左心耳(LAA:Left Atrial Appendage)で形成されたものです。
WATCHMANはこのLAAを閉鎖して血栓の形成を防ぎます。手技は経静脈的心房中隔穿刺法であり、カテーテル室において全身麻酔下で実施します。
通常、手技は約1時間を要し、手技の数日後に退院できます。手技後、約45日または十分な閉鎖が得られるまで、アスピリンおよび抗凝固剤を投与します。抗凝固剤投与中止後、チエノピリジン系薬剤とアスピリンを約6ヵ月間投与し、その後はアスピリン単剤投与を継続します。

手技手順

1

経皮的アプローチでガイドワイヤとダイレーターを右大腿静脈に挿入します。

2

X線と経食道心エコー(TEE)下で留置手技を実施します。経心房中隔穿刺システムを用いて心房中隔を通過します。

3

ガイドワイヤに沿って、アクセスシースを左上肺静脈または左心房内に進めます。次に、ピッグテールカテーテルに沿ってLAAの遠位側に誘導します。

4

WATCHMANを展開し、LAAに留置します。

5

WATCHMANを覆うように内皮化が進み、LAAが永久的に閉鎖されます。患者さんは、手技後約45日間は抗凝固薬の内服を継続します。経食道心エコーで閉鎖していることを確認します。

WATCHMANの働き

左房に存在する左心耳(LAA)というポケットに血栓が形成され、これが脳やほかの臓器に流れて梗塞(塞栓)を引き起こします。

WATCHMANは心臓の左心耳(LAA)と呼ばれる部分に留置されます。

WATCHMANは時間が経つと、内皮に覆われて完全にLAAを閉鎖します。

MESSAGE

担当医のメッセージ

脳血管内科
部長
かさいようすけ

笠井 陽介

外来日
木曜 8:30 ~ 11:00

新たなデバイスの登場で心原性脳塞栓症の治療の選択肢が増えるものと考えます。心房細動による心原性脳塞栓症は再発が多く、症状も重篤になりやすいため予防が重要ですが、抗凝固療法を行うことにより出血性脳卒中も増加しま。 神経内科医として多くの脳梗塞、脳出血の診療にあたり心原性脳塞栓症の治療の難しさを実感しております。
WATCHMAN 左心耳閉鎖システムが治療選択の一つとなることでより良い医療が提供できれば幸いです。安心、納得して治療を選択できるよう循環器内科・不整脈科医師と協力し“ブレインハートチーム” で治療にあたらせていただきます。

  • 日本内科学会総合内科専門医
  • 日本脳卒中学会専門医
  • 日本神経学会専門医
SCHEDULE

入院から退院まで

入院

手術前日に入院いただき、内服薬の確認・血液検査・麻酔科術前診察(入院日によっては外来にて)があります。

全身麻酔にて手術

手術は原則、全身麻酔、経食道心エコーガイドにて行われます。帰室翌日に歩行可能となります。

検査

心エコーや胸部レントゲン検査にて合併症がないかをチェックします。

退院

経過に問題なければ、数日内に退院となります。今後の抗血栓療法や外来受診の確認を行います。

EFFECTIVE & SAFE

有効性と安全性

WATCHMANの安全性

世界中で50,000例を超える患者さんに
WATCHMANが留置
されています。

WATCHMANは米国内で10年以上にわたって臨床試験での研究が続けられ、米国では2015年に実臨床での使用が可能になりました。

WATCHMAN留置後の臨床結果

45日で92%、1年で99%の患者さんが、
ワルファリン服用を中止
できました。

WATCHMANは心臓内に永久留置をするデバイスで、脳卒中の原因となる血栓を形成することが多い、左心耳(LAA:Left Atrial Appendage)を直接閉鎖します。血栓形成の好発部位が消失することで、予防として内服していた抗凝固剤を中止できます。

WATCHMANとワルファリンの効果を比較

WATCHMANは、出血などでワルファリンを長期間服用できない非弁膜症性心房細動患者さんに対して、ワルファリンと同等の有効性を示唆する結果が示されました。WATCHMANはそのような患者さんに対する代替療法です。
WATCHMANを留置することで、ワルファリン投与を中止することができます。2つのランダム化試験のメタ解析でWATCHMANとワルファリンの効果を比較しています。

WATCHMAN 臨床試験で確認されたこと

WATCHMANは、多くの臨床研究(PROTECT AF、CAP レジストリー、PREVAIL、CAP 2 レジストリー)から長期成績などのエビデンスが得られています。
承認後の分析において、WATCHMANは長期的なワルファリン治療の代替療法として、ワルファリンを長期間服用できない非弁膜症性心房細動患者に対して手技成功率の高さと合併症発生率の低さを示唆する結果が示されました。多くの試験が行われてきたWATCHMANの安全性および有効性が、長期臨床成績によって評価されました。

安全性
手技の安全性
1.5%
合併症の発生率は1.5%
有効性全脳卒中、全身性塞栓症、
および心血管/原因不明の死亡
ワルファリンと
同等の有効性
18%
イベント発生は18%減少
非劣性
ワルファリンの
中止
患者10例中9例が
ワルファリンを中止
92%
92%の患者が18%減少
45日後に中止
99%
99%の患者が
1年後に中止
脳卒中
ワルファリンと
比較して有意に減少
55%
後遺障害を伴う/
致死的脳卒中は55%減少
80%
出血性脳卒中は
80%減少
死亡率
統計的に有意に減少
27%
全死亡率は27%減少
41%
心血管/
原因不明の死亡は41%減少
大出血
ワルファリン投与後と
比較して有意に減少
72%
術後6ヵ月では
ワルファリンと比較して72%減少
KNOWLEDGE

知識を深めよう

心房細動と脳卒中リスク

心房細動がある人は、心拍が規則正しい洞調律の人の、5倍多く脳卒中を発症します。

心房細動によって心拍が不規則になり、心臓内の血流がよどみます。そうすると、血液が滞留して血栓が形成されることがあり、その血栓が心臓から出ていき、脳の血管を閉鎖すると脳卒中になります。

心房細動とはどのようなもの?

心房細動は、心臓の上部にある2つの部屋(心房)が小刻みで不規則な拍動(細動)をする不整脈です。この疾患によって、心臓の左心耳(LAA:Left Atrial Appendage)に血液が滞留して血栓が形成されることがあります。血栓が動脈を通って脳に達すると脳卒中に至る場合があります。

血栓形成リスク対処に抗凝固薬

薬剤によって、脳卒中を引き起こす血栓形成リスクを低減できます。

ワルファリン:50年以上にわたって心房細動患者さんの脳卒中リスク低減に使用されています。ただし外来での採血で頻回にお薬を調整しなければならない煩雑さがあります。また、納豆などビタミンKを含む食品を控えるなど食事療法に気を付ける必要があります。透析患者さんには禁忌となっています。

直接抗凝固剤(DOAC):プラザキサ、エリキュース、イグザレルト、リクシアナがあります。ワルファリンに比較し、薬剤価格は高いですが、臨床試験によりワルファリンに比較して、脳塞栓予防効果や出血抑制効果が証明されている薬剤もあり、急激に普及しています。ただし腎臓機能の極端に低下した方や透析患者さんには禁忌となっています。

ワルファリン、直接抗凝固剤(DOAC)いずれも、心房細動患者さんにおいて、適応であるにもかかわらず、出血リスクが高い等の理由によって長期間の服用が困難な患者さんが存在しています。

心房細動による脳卒中リスクはどの程度

心房細動は、心房のポンプ効率を最大30%も低下させます。ポンプ機能が不良であると、心臓で血栓が形成されるリスクが高まります。血栓が剥がれて血流に乗り、脳や肺などに移動することがあります。心房細動で最も多く、最も恐れられている合併症が脳卒中です。

脳卒中のリスクはわかりますか?

年齢、人種や性別を問わず、誰でも脳卒中になる可能性があります。脳卒中になるリスクは、以下に挙げる特定の危険因子によって上昇します。

  • 心房細動
  • 冠動脈疾患
  • 高コレステロール
  • 糖尿病
  • 高血圧
  • 睡眠時無呼吸症候群

脳卒中の症状はどのようなもの?

脳卒中の徴候として以下が挙げられます。

  • 顔面、腕や脚(特に体の片側)の突然のしびれ、脱力感や麻痺
  • 突然の錯乱や発話障害、会話の内容が理解できなくなる
  • 片眼または両眼が見えにくくなる
  • 突然の歩行障害、浮動性めまい、平衡障害、協調運動障害
  • 原因不明の突然の重度頭痛

心房細動と脳卒中の関係

心房細動に対し適切に対処しないと、正常な心調律の人に比べて脳卒中のリスクが高くなることがわかっています。

  • 心房細動患者さんの約3分の1が脳卒中を発症することが報告されています。
  • 心房細動による脳卒中によって、死亡や後遺障害を引き起こす確率が高くなることが報告されています。
  • 非弁膜症性心房細動では、左心耳(LAA)と呼ばれる小さな袋で形成される血栓が脳卒中の主な原因と考えられています。
Q&A

よくあるご質問

WATCHMANを受けられない方はいますか?

入院期間はどれくらい?

薬の内服を継続する場合と比較し、医学的及び経済的なメリットはありますか?

デバイスの交換時期

費用はいくらですか?

合併症はどのようなものがありますか?

INFORMATION

受診案内

気になる方は「弁膜症外来」「不整脈外来」で早めに受診を

抗凝固療法中(以下の血液サラサラの薬服用中)の出血に悩んでいる方はお気軽にご相談ください。
対象の薬:ワーファリン、エリキュース、リクシアナ、プラザキサ、イグザレルト。

弁膜症・心不全 専門外来

担当医 診察日 受付時間
弁膜症/心不全外来 水曜日 8:30~11:00
本多(弁膜症/心不全外来) 木曜日 8:30~11:00
不整脈外来 火曜日・木曜日 8:30~11:00

水・木曜日にお越しになれない方でも、平日毎日(午前 8:30~11:00)初診受付しております。

お電話でのご相談

TEL 045-576-3000 (代表)
受付時間
9:00~17:00(土日祝休)

「心臓血管センター外来まで」とお伝えください。

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