栄養部

患者さんへ

ごあいさつ

「食事が美味しく食べられる」ということは「幸せ」です。
 私たちは食事することによって、植物や動物といった生物の栄養素を体内に取りこみ、生命を紡いでいます。私たちが日々生命活動を営むために、食事はとても大切で重要です。そして、神様は「美味しい」という感覚を与えてくださることで、大切な「食事」が続けられるようにしてくださったのではないかと思っています。「美味しい」と感じることは、私たちが「生命を紡いでゆく」ためには欠かせない大切な感覚なのです。

 今の日本は「美味しい」食品が溢れています。しかもいつでも、だれでも簡単に手に入れることができる時代となっています。ご飯を炊かなくてもおにぎりが食べられます。野菜を切らなくてもサラダが食べられます。鶏肉を揚げなくてもから揚げが食べられます。わざわざ「美味しい」という枕詞をつけなくても食事はいつでもどこでも美味しいものとなってきました。

 でもここで私たちがちょっと考えなければならないことがあると思います。食事の本来の目的は、「生命を紡いでゆく」ということであり、決して「美味しさ」だけを追求することではないということです。美味しさを追求した結果が実は病気を生み出し、「生命を紡いでゆく」ということを危ぶませているのではないかと、私は感じています。

 当院のミッションである「医療を通じて生命を守る」ためには、「生命を紡ぐ」ための美味しい食事の提供を含めた栄養ケアを欠かすことができません。管理栄養士は、個々人の栄養状態を多角的な視点から評価診断し、その評価にもとづいて食事の種類や回数、食事相談やNST介入の必要性など療養方針を計画し、その計画に則って栄養ケアを実践しております。

 栄養部では、個人個人にあった適切な栄養ケアを実践するためにNCM(Nutrition Care and Management 栄養ケアと管理)にもとづいた管理システムを構築し、一人ひとりに適切な栄養ケアの実施によって「生命を守る」医療へ貢献してまいりたいと考えております。

栄養部 課長 工藤雄洋

栄養部の仕事

 栄養部は業務内容によって臨床栄養部門と食事サービス部門に分かれて患者さんの栄養ケアに携わっています。これは、それぞれの業務の専門性を生かした業務分担によって栄養ケアの効率化の向上や安全性を確保し、患者さん個々人の栄養ケアを適切に実施し、QOLの維持向上の貢献することを一番の目的としているためです。

 適切な栄養ケアを継続するためにはシステムが必要です。当院では図に示すようなシステムにもとづいて患者さん一人ひとりの状態に則した栄養ケアの実践に努めています。

「臨床栄養」

NCM (Nutrition Care and Management)のシステムのもと、入院患者さん一人ひとりに適正な栄養ケアを実践しています。

東部栄養ケア・管理システム

  1. 栄養スクリーニング

    入院されて24時間以内に年齢や入院目的、手術の予定の有無、既往などさまざまな視点から、入院によって栄養状態が低下する可能性があるかどうかを管理栄養士が評価させていただきます。消化器等の手術を予定している、高齢である、もしくは子どもである、その他入院による栄養状態の低下の可能性がある患者さんに対しては、さらに詳細な栄養評価を実施し治療効率向上に貢献いたします。

  2. 栄養アセスメント、栄養管理計画書の作成

    身長・体重、臨床検査結果、身体状況(体温、消化器症状、排便状況等)、食欲の有無、食事の内容や摂取量 輸液量など多角的な視点から総合的に栄養評価・栄養診断いたします。栄養評価にもとづいて今後の栄養療法の方針(栄養管理計画書)を立て、カルテに記載いたします。

  3. 栄養ケアの実践

    栄養管理計画書にもとづいて、患者さんに以下のような栄養ケアを実践します。

  4. 栄養状態のモニタリング(観察)

    食事の摂取状況や臨床検査値の変化、また病態や食欲などを病棟担当管理栄養士が継続して観察いたします。また「食事そのものに問題はないか」「食事量としては十分か」「食事の形状は適正か」等、実際にお食事を召し上がっていらっしゃる様子を拝見させていただくミールラウンドを実施しております。

  5. 再評価

    栄養モニタリングによって必要に応じて、栄養ケアの変更などを行います。また退院時必要に応じて栄養サマリーを作成し、転院しても継続して栄養ケアが受けられるようサポートいたします。

「入院中の食事」

 入院中の食事は栄養ケアの一環として重要な役割を担っており、「食事が美味しく召し上がれる」ということは管理栄養士の目標でもあります。食事は、「栄養を補給する」こと以外に「楽しみ」でもあり、美味しい食事の提供は、よりよい療養生活を約束してくれます。

「安全」で「美味しい」食事を目指して、食材や盛り付けや季節にこだわりながら入院患者さんのお食事を提供し、一人でも多くの方が一日も早い回復できますよう、心をこめて調製させていただいております。

  1. 食事内容

  2. 食事サービス

    食器は衛生管理がしやすく、ご自宅での食事に近い印象が得られる強化磁器を中心として使用しております(病棟によってはメラミン食器の使用もあります)。お箸や湯飲みもお食事と一緒に配膳いたします。

    お食事は「冷たいものは冷たく」「温かいものは温かく」お手元に届くよう温冷配膳車を使用してお届けいたします。

    お食事時間は、朝食 7:30、昼食12:30、夕食18:30(病棟によって若干前後します)となっています。検査や治療上の必要から通常の時間通り召し上がれない場合も、温かいお食事が召し上がれるよう、安全性を含めて配慮しております。

「参加学会等」

日本栄養改善学会 日本臨床栄養学会 日本静脈経腸栄養学会 日本病態栄養学会 日本健康栄養システム学会 日本糖尿病学会 日本腎臓学会 日本透析医学会 日本褥瘡学会 日本摂食嚥下リハビリテーション学会 日本小児科学会 日本小児消化器肝臓学会 日本小児肝臓病研究会 重症心身障害者学会 グリセミックインデックス研究会 等々

医療関係者の方へ

地域連携病院・診療所の皆さまへ

1.食事・栄養相談

生活習慣病などの食事相談、術前の栄養状態向上など食事・栄養相談に応じます。当院での食事相談は、まず当院の外来を受診していただき、当院でカルテを作成してから受けていただくことになります。今後、診療所の先生からの指示があれば、外来の診察なしでも相談業務が実施できるシステムを構築する予定です。

2.退院時栄養サマリー

入院中の食事など栄養ケアの状況、栄養状態の総合的評価など経腸・経静脈なども含めてサマリーの提供します。
※地域連携パスにそって転院される場合は、お申し出は不要です。

管理栄養士の皆さまへ

研究業績

学会発表

2009年
第24回日本静脈経腸栄養学会 学術集会(2009.2)
「経鼻胃管からの栄養剤投与速度を調節したことにより下痢が改善された2症例」
「ICUでの必要エネルギー算出と間接熱量計の関係」
第4回 微酸性電解水研究会(2009.3)
「微酸性電解水の使用と有効性」
日本小児肝臓研究会(2009.7)
「厳しい糖質制限によって成長障害を生じたシトリン欠損症の一例」

2010年
第25回日本静脈経腸栄養学会 学術集会(2010.2)
「小児NST(PNST)の活動報告」
「当院救急病棟における栄養管理の現状と課題」
日本呼吸療法医学会(2010.7)
「ICU入室患者のおける栄養プロトコルの作成」
第17回全国済生会糖尿病セミナー(2010.8)
「フォーミュラ食使用による減量の効果とその実証」
第37回日本小児栄養消化器肝臓学会(2010.10)
「シトリン欠損症食事療法の実際」

 
2011年
第26回日本静脈経腸栄養学会 学術集会(2011.2)
「小児急性肝不全の栄養管理」
「重症心身障害児者における栄養評価指標の検討」
「神経性食指不振症患者へのNST介入により栄養状態の改善を得た1症例」
第5回日本食育学会学術大会(2011.5)
「カンボジア王国における栄養支援活動を目指した活動の第一歩」

2012年
第39回日本小児栄養消化器肝臓学会(2012.7)
「小児の便秘と食生活」