倫理に関する事
職員倫理要綱
理念
- 職員は、医療を受ける者とその家族の人格を尊重し奉仕しなければならない。
- 職員は、医療を受ける者に優しい気持ちで接し、医療の内容をよく説明し、理解と信頼を得るよう努めなければならない。
- 職員は、医療を受ける者の知る権利と自己決定の権利を尊重し擁護しなければならない。
- 職員は、守秘義務を遵守し、個人情報の保護に努めなければならない。
- 職員は、国籍、人種、民族、宗教、信条、性別および年齢にかかわらず、すべてに平等に接しなければならない。
- 職員は、常に自らも研鑽に努め、安心で信頼される最善の医療が提供できるように心がけなければならない。
- 職員は、互いに尊敬し協力して医療に尽くさなければならない。
- 職員は、医療の公共性を重んじ、医療を通じて社会の発展に尽くさなければならない。
- 職員は、国等が定める医療に関する倫理指針※を遵守しなければならない。
- 職員は、済生会横浜市東部病院の職員として自覚を持ち、お互いに協力して病院の健全な運営に努めなければならない。
※医療倫理に関する指針は次のものを含む
- ヘルシンキ宣言(1964年 世界医師会採択)
- 臨床研究に関する倫理指針(厚生労働省 平成15年7月30日)
- 医師の職業倫理指針(日本医師会 平成16年2月)
- 看護者の倫理綱領(2003年 日本看護協会)
- 薬剤師倫理規定(日本薬剤師会 昭和48年10月10日)
- 日本臨床衛生検査技師会倫理綱領(日本臨床衛生検査技師会 平成3年4月)
- 日本放射線技師会綱領(日本放射線技師会 平成9年6月14日)
- 管理栄養士・栄養士倫理綱領(日本栄養士会 平成14年4月27日)
- 日本理学療法士協会倫理規定(日本理学療法士協会 昭和53年5月17日)
- 日本作業療法士協会倫理綱領(日本作業療法士協会 昭和61年6月12日)
- 日本言語聴覚士協会綱領(日本言語聴覚士協会 平成16年6月)
- 日本視能訓練士協会倫理規定(日本視能訓練士協会 平成14年6月1日)
- 日本臨床工学技士会倫理要綱(日本臨床工学技士会 平成15年5月25日)
倫理委員会について
1.はじめに
当委員会は、医療倫理の保持の的確性を期することを目的とし、以下の事項について審議を行っています。
A.新たな医療の導入に関して必要のある事項。
B.社会的に問題となる医療上の事項。
C.その他必要な調査等委員会が審議すべき事項。
臨床研究、未承認薬等の使用、その他、審議が必要と思われる場合は、倫理委員会にご相談ください。
倫理委員会に審議申請をされる場合は、後記の手順書に従って必要書類を揃え、委員会へ提出してください。
2.倫理委員会構成員(2024年5月現在)
役職 | 氏名 | 所属 | 分野 |
---|---|---|---|
委員長 | 一城 貴政 | 済生会横浜市東部病院 糖尿病・内分泌内科 センター長 | 自然科学 |
副委員長 | 戸田 陽子 | 済生会横浜市東部病院 緩和ケアセンター長 緩和ケア内科部長 | 自然科学 |
委員 | 青木 輝浩 | 済生会横浜市東部病院 院長補佐 | 自然科学 |
赤松 俊武 | 赤松法律事務所 弁護士 | 人文・社会科学 | |
池田 典子 | 一般 | 一般の立場 | |
乾 あやの | 済生会横浜市東部病院 小児肝臓消化器科 専門部長 | 自然科学 | |
井部 俊子 | 井部看護管理研究所 代表取締役 | 自然科学 | |
折登 剛 | 済生会横浜市東部病院 事務部長 | 一般の立場 | |
笠原 英彦 | 慶應義塾大学 名誉教授 | 人文・社会科学 | |
川城 丈夫 | 済生会横浜市東部病院 名誉院長 | 自然科学 | |
菅野 浩 | 済生会横浜市東部病院 薬剤部 部長 | 自然科学 | |
豊福 深奈 | 横浜市医師会 常任理事 | 自然科学 | |
渡邊 輝子 | 済生会横浜市東部病院 看護部 部長 | 自然科学 |
3.承認(実施許可)された臨床研究一覧
4.倫理委員会規程
5.手順書
臨床倫理指針
A. 原則
- 患者の人格と意思を尊重し、十分な説明と同意による患者の自己決定に基づいた医療を行う。
- 患者には、全ての選択肢の中で益と害を十分に比較検討し、害を最小とし最大の益となるよう努める。
- 患者には、社会的適切性にも配慮した公正な医療を提供する。
上記の原則を達成するために、医療・倫理に関係する法令やガイドラインを遵守し、院内委員会(倫理委員会、治験審査委員会、臨床倫理事例相談など)等の方針に従い、必要時には関係多職種によるカンファレンス(臨床倫理カンファレンス)で検討し、患者にとって最善の医療を提供する。
B. 主な臨床倫理問題への対応指針
1.医療行為の妥当性について
当院臨床倫理指針の原則に従い、判断する。
必要に応じて、臨床倫理事例相談や倫理委員会への倫理審査申請を行ない、その方針に従う。
2.患者の知る権利について
患者の知る権利を満たした上で、患者の意思を尊重し、原則として真実を開示する。なお、患者が望まない場合や、臨床試験に参加しており担当医も真実を知らない場合には、この限りではない。必要に応じて臨床倫理事例相談を行ない、その方針に従う。
3.説明と同意(インフォームド・コンセント)について
患者に正確かつ十分な説明を行い、患者の理解と同意を得て、自主的な意思決定を尊重し医療を提供する。
4.本人の意思が確認できない患者への対応について
適切な代理人に説明し同意を得る。適切な代理人がいない場合には、担当医を含む多職種チームで検討し、臨床倫理の原則に従い判断する。必要に応じて、臨床倫理事例相談を行ない、その方針に従う。
5.法的判断能力がある患者の治療拒否について
患者に治療によって生ずる負担と利益を提示し、その上で、患者が望まない治療を拒否できる権利を認める。(ただし、感染症など第三者に危険が及ぶ可能性がある場合には、感染症法などに基づき治療拒否は制限される場合がある。)必要に応じ臨床倫理事例相談を行ないその方針に従う。
なお、当院では、いかなる場合も、安楽死や自殺幇助は認めない。
6.宗教的理由による患者の輸血拒否について
宗教的輸血拒否に関する合同委員会のガイドラインを参考にし、院内輸血療法委員会の指針(相対的無輸血の方針)に従う。 すなわち、患者の意思を尊重して可能な限り無輸血治療に努力をするが、「輸血以外に救命手段がない」事態に至った時には輸血を行う。
7.妊娠中絶に関する問題について
母体保護法に従う。
8.人工授精に関する問題について
院内の「当院で行う体外授精に関する倫理指針」に従って行う。
9.人生の最終段階における医療とケアの問題について
「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」(厚生労働省 2018年3月改訂)を参考にして行う。ここでは、患者の意向を尊重した意思決定の支援を重視する。
1)患者に将来起こりうる心身の状態の変化に備えて、将来の医療について、患者を主体に家族等や医師と看護師およびそれ以外の医療・介護従事者(医療・ケアチーム)と繰り返し話し合いを行い、患者が意思決定するプロセスを、当院の「アドバンス・ケア・プランニング(ACP;“人生会議”)運用マニュアル」(済生会横浜市東部病院 臨床倫理事例相談チーム 2021年11月)に従って行う。
2)根治目的の治療から代替治療・緩和ケアへの段階的移行は、医療行為の妥当性を充分に考慮し、患者や家族等に説明と同意を行い開始する。必要に応じて、臨床倫理事例相談を行ない、その方針に従う。
3)患者の状態によっては、事前指示(AD;アドバンス ディレクティブ)や心肺蘇生にかかわる決定(延命措置、心肺蘇生、蘇生不要指示;DNAR)も含まれる。前記ガイドラインおよび当院の「終末期医療(人生の最終段階)における指示のあり方について」(済生会横浜市東部病院 臨床倫理事例相談チーム 2021年12月)も参考に、心肺蘇生の有効性について患者や代理人に説明し理解と同意を求める。その上で、
(1) 患者が意思表示できる間に、延命措置に対する希望を確認し、それを尊重する。
(2) 患者の意思が確認できない場合で、家族等から患者の意思が推定できる場合は、それを重視する。
(3) 患者の意思が確認も推定もできない場合、家族等との話合いで意見の一致があれば、それを重視する。
(4) 患者の意思が確認も推定もできない場合で、家族等の意見に一致がみられない場合には、必要に応じ臨床倫理事例相談を行ない、担当医を含む多職種で検討し臨床倫理の原則に従い判断する。
(5)患者の意思が確認も推定もできない場合で、家族等がいない場合にも、必要に応じ臨床倫理事例相談を行ない、担当医を含む多職種で検討し臨床倫理の原則に従い判断する。
なお、当院ではいかなる場合でも、安楽死や自殺幇助は認めない。
10.臓器移植、脳死判定について
臓器移植法、当院の脳死判定委員会および臓器提供対策委員会の判断に従う。
11.身体拘束・行動制限について
当院の「患者の安全確保に関する対策委員会」の指示に従う。治療上、身体拘束が必要な場合は、患者やその代理人に説明し同意を得て行う。また、拘束中は頻回に状態を観察し、拘束は必要最小限かつ最短期間とする。患者の安全を確保しながら、身体拘束が心身へ及ぼすリスクを絶えず意識し、可能な限り“身体拘束ゼロ”に向けての努力を継続する。
12.臨床研究・治験について
「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する臨床指針」(2021年6月30日)など、国等の指針、院内の倫理委員会、治験審査委員会の指示に従い行う。
13.その他
前記、臨床倫理の原則に従い判断する。必要に応じ臨床倫理事例相談を行ないその方針に従う。
C. 見直しと変更について
この指針は社会情勢や新たな法令やガイドラインの整備状況などを踏まえて定期的に見直し、その変更は院長の承認を得て、一定期間公示後に運用するものとする。
作成 2011年2月
管理会議承認 2011年3月
倫理委員会承認 2011年4月
改訂 2011年7月 字句の修正を行なう
2015年3月「人生の最終段階の決定プロセスに関するガイドライン」
改訂 2016年5月 ガイドライン名の変更に伴う改訂
2018年3月「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」
改訂 2022年5月
発行元:倫理委員会
発行日:2011年3月
改訂日:2011年7月
改訂日:2016年5月
改訂日:2022年5月