救急科

救急科について

生命にかかわる事故や病気には、一刻も早く的確な処置を施さなくてはなりません。 救急科では、心肺停止・ショック・重症外傷・急性腹症・熱傷・急性中毒など 救急車で運ばれる重篤な患者さんから、 通常のケガ・腹痛・発熱など自力で来院された急患の方にまで、 幅広く対応できる救急医療体制を24時間365日整えています。

♦︎厚生労働省が発表した『2019 年 救命救急センターの評価結果について』において、東部病院同センターは、全国292施設の救命救急センター中10位、大学病院以外では全国3位にランクインしました。

最高レベルの外傷診療を

済生会神奈川県病院の交通救急センターで培った外傷診療を基礎とする当科には、全国から参集した外傷外科を専門とする救急医が多数在籍しております。

突然の心肺停止や心原性ショックの患者さんに対して、体外循環などの高度医療を用いて徹底した救命を行うことにより、従来なら救命困難だったであろう患者さんがご自身で歩いて帰宅するまでに回復されることもあります。

救命救急の「プロ」が診療します

体の具合が悪くなったとき、「どのくらい危険な病気か」「何科を受診すればよいか」という判断は患者さんには難しいものです。そのため当科では病気の軽重や種類にかかわらず対応可能な救急医療を行っています。

まず、救命救急に特化した救急医を中心に救急看護を専門とするナースも参加して初期診療にあたり、トリアージ(問診)を実施。救急医療において重要なカギを握る初期診療時に適切な判断を下し、さらに各専門科の医師と連携しながら最も効果的な治療を進めるようにしています。

ドクターカーを配備しています

平成20年12月より、ドクターカーを配備。医師と看護師が現場に出動し、救急隊と連携しながら病院到着前から重篤患者さんの治療を開始します。

救急科からのお知らせ

当科では、今後の医療の発展に役立てるため、様々な臨床研究を実施しております。患者さんの診療に直接影響しないかたちで下記の研究に関して、主に診療録のデータを集積して解析を行っております。当院の倫理委員会の承認の下、患者さんのプライバシーに充分配慮した上で実施しております。これらのデータを匿名で用いて、学会発表や論文の発表に貴重なデータとして利用させていただくことがございます。御理解、御協力のほどよろしくお願いいたします。なお、下記の研究への御協力を希望されない場合は、担当医までお知らせください。

重症敗血症性ショック患者の背景や治療実態、予後を観察する登録研究

 

診療実績

救急車応需状況

※不応需件数及び不応需理由については、横浜市の救急車のみ集計

2019年度

4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月
合計 476 531 528 544 561 501 511 581 576 568 477 476
応需 429 480 490 496 498 450 470 528 532 516 420 426
不応需 47 44 38 58 64 36 37 52 63 49 37 25
応需率 90% 90% 93% 91% 89% 90% 92% 91% 92% 91% 88% 89%

不応需理由

4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月
ベッド満床 19 16 8 17 27 12 6 17 31 23 11 5
処置多忙 18 14 20 15 18 14 20 23 18 9 13 11
処置困難 5 6 4 11 9 4 6 5 7 6 6 2
専門外 2 2 2 1 3 3 0 1 4 2 2 0
受付拒否 0 2 1 3 3 0 0 1 0 0 1 0
医師不在 0 11 0 2 0 0 0 0 0 0 1 0
隊判断 0 0 2 4 1 1 4 3 2 2 1 1
理由不明 1 0 0 3 0 1 0 0 0 2 1 1
手術中 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 1 1
その他 2 3 1 2 3 0 1 1 1 5 0 4
合計 47 44 38 58 64 35 37 52 63 49 37 25

 

2020年度

4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月
合計 443 457 466 590 637 543 547 465 451 696 512 564
応需 381 408 428 529 554 478 497 395 344 513 425 493
不応需 62 49 38 61 83 65 50 70 107 183 87 71
応需率 86% 89% 92% 90% 87% 88% 91% 85% 76% 74% 83% 87%

不応需理由

4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月
ベッド満床 7 4 4 5 26 23 12 31 68 116 35 34
処置多忙 29 24 20 27 36 26 21 17 21 35 23 18
処置困難 14 12 8 15 12 8 12 12 12 21 14 12
専門外 3 3 0 1 0 1 0 1 0 1 1 2
受付拒否 2 1 2 4 3 2 1 1 2 2 5 1
医師不在 0 1 1 0 1 1 0 2 1 1 0 0
隊判断 3 1 2 2 2 0 3 2 2 5 4 2
理由不明 0 0 0 0 0 1 1 2 0 0 1 0
手術中 0 1 1 2 0 1 0 0 0 0 0 2
その他 4 2 0 5 3 2 0 2 1 2 4 0
合計 62 49 38 61 83 65 50 70 107 183 87 71

 

2021年度

4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月
合計 594 594 573 737 955 627 597 594 564 769 853 741
応需 509 466 502 595 441 461 510 522 499 550 470 533
不応需 85 128 71 142 514 166 87 72 65 219 383 208
応需率 86% 789% 88% 81% 46% 74% 85% 88% 88% 72% 55% 72%

不応需理由

4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月
ベッド満床 32 50 29 81 405 103 30 12 20 125 304 135
処置多忙 29 43 24 40 43 30 28 23 28 48 32 27
処置困難 16 25 10 10 38 14 13 18 11 27 32 27
専門外 1 1 2 1 3 1 1 2 1 5 2 3
受付拒否 0 2 1 3 9 2 1 4 0 3 3 2
医師不在 1 0 0 1 0 1 2 3 2 4 2 3
隊判断 2 6 4 2 9 10 7 4 3 5 5 9
理由不明 2 0 0 0 3 2 1 0 0 0 2 0
手術中 1 0 0 2 0 1 2 1 0 0 0 0
その他 1 1 1 2 4 2 2 5 0 2 1 2
合計 85 128 71 142 514 166 87 72 65 219 383 208

 

2022年度

4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月
合計 667 670 699 1,166 1,110 723 739 804 1,158 993 676 763
応需 542 561 619 809 643 563 591 585 690 608 467 588
不応需 125 109 80 357 467 160 148 219 468 385 209 175
応需率 81% 84% 89% 69% 58% 78% 80% 73% 60% 61% 69% 77%

不応需理由

4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月
ベッド満床 61 29 16 191 329 72 46 127 290 244 123 56
処置多忙 35 48 42 100 45 51 51 60 92 82 50 69
処置困難 17 16 13 44 69 18 34 19 51 31 18 26
専門外 1 0 0 2 1 4 2 1 5 2 2 2
受付拒否 1 0 1 8 6 4 2 2 10 8 1 4
医師不在 0 2 1 3 3 1 1 1 0 3 0 4
隊判断 6 11 3 5 13 7 8 8 17 11 12 7
理由不明 0 0 0 0 0 1 1 0 2 1 0 2
手術中 2 2 1 0 0 2 1 1 0 0 2 3
その他 2 1 3 4 1 0 2 0 1 3 1 3
合計 125 109 80 357 467 160 148 219 468 385 209 175

 

2023年度

4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
合計 718 746 843 927 882 788 797 720 903
応需 590 604 666 699 599 589 652 574 725
不応需 128 142 177 228 283 199 145 146 178
応需率 82% 81% 79% 75% 68% 75% 82% 80% 80%

不応需理由

4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
ベッド満床 51 54 75 107 177 107 51 73 64
処置多忙 40 49 61 75 59 58 60 36 76
処置困難 15 16 16 23 27 22 16 20 20
専門外 5 2 1 2 2 2 2 2 2
受付拒否 3 3 1 4 3 1 3 3 2
医師不在 3 3 9 2 1 0 0 0 3
隊判断 7 11 9 10 11 7 9 7 6
理由不明 1 1 1 1 1 1 0 3 1
手術中 1 0 2 2 0 1 1 1 0
その他 2 3 2 2 2 0 3 1 4
合計 128 142 177 228 283 199 145 146 178

スタッフ紹介

救命救急センター長
■清水正幸
(しみずまさゆき)

大阪大2000年卒

専門分野

救急医学(外科系)

特に専門としている領域

Acute Care Surgery(外傷診療、急性腹症診療)、消化器外科

学会専門医・認定医

日本救急医学会専門医・指導医
日本外科学会専門医・指導医
日本消化器外科専門医・指導医
日本外傷学会専門医・評議員
日本Acute Care Surgery学会認定外科医・評議員
腹部救急認定医
横浜市消防局救命指導医
Infection Control Doctor
ICLS
インストラクター
JATEC
プロバイダー
外傷外科医養成研修修了
日本DMAT隊員

横浜市重症外傷センター長
部長
■松本松圭
(まつもとしょうけい)

日本大2000年卒

専門分野

救急医学

特に専門としている領域

外傷システム

学会専門医・認定医

日本外傷学会専門医・評議員
日本救急医学会専門医・指導医
日本外科学会専門医
日本Acute Care Surgery学会認定外科医・評議員
International Association for Trauma Surgery and Intensive Care(IATSIC)アクティブメンバー
Journal of Acute Care Surgery編集委員
American Association for Surgery Trauma(AAST)アクティブメンバー
International Society of Surgery(ISS)アクティブメンバー
元ICLSインストラクター
元日本DMAT隊員
臨床研修指導医

医長
■妹尾聡美
(せのおさとみ)

和歌山県立医科大2006年卒

専門分野

救急医学(放射線系)

特に専門としている領域

救急放射線、特に外傷・急性腹症画像診断、IVR治療

学会専門医・認定医

日本救急医学会専門医
日本医学放射線学会 放射線診断科専門医
日本IVR学会専門医
JATEC
プロバイダー
JETEC
インストラクター
日本DMAT隊員
国際緊急援助隊(JDR)医療チーム隊員
横浜市消防局救命指導医
DIRECT研究会幹事
日本救急医学会POCUS推進委員会委員

医長
■廣江成欧
(ひろえなお)

慶應義塾大2008年卒

専門分野

救急医学

特に専門としている領域

外傷外科治療、急性腹症の診断・治療、surgical critical care、 救急全般の診断・治療

学会専門医・認定医

日本救急医学会専門医・指導医
日本外科学会専門医
日本外傷学会外傷専門医
日本Acute Care Surgery学会認定外科医
JATEC
プロバイダー
JPTEC
プロバイダー
ICLS
プロバイダー
MCLSプロバイダー
ステントグラフト実施医
横浜市消防局救命指導医
日本DMAT隊員
外傷外科医養成研修修了

医長
■風巻 拓
(かざまきたく)

北海道大2010年卒

専門分野

救急医学

特に専門としている領域

外傷・急性腹症、surgical critical care、 救急全般の診断・治療、臨床栄養、医学教育

学会専門医・認定医

日本外科学会専門医
日本救急医学会専門医
ICLSワークショップ開催ディレクター
神奈川DMAT-L隊員
横浜救急医療チームYMAT隊員
JATEC
プロバイダー
ICLS
プロバイダー
MCLS
プロバイダー
日本静脈経腸栄養学会認定TNTコース修了
横浜市消防局救命指導医

医長
■栗山桂一
(くりやまけいいち)

専門分野

救急医学

学会専門医・認定医

日本外科学会専門医
日本救急医学会専門医

医員
■土屋亜由美
(つちやあゆみ)
横浜市立大2015年卒

専門分野

一般・消化器外科

学会専門医・認定医

日本外科学会専門医
JTCR JATECプロバイダー
厚生労働省 外傷外科医等養成研修
厚生労働省開催指針準拠 緩和ケア研修会修了

医員
■大政皓聖
(おおまさこうせい)

金沢大2017年卒

専門分野

救急医学、集中治療

特に専門としている領域

循環器集中治療呼吸療法、外傷・補助循環使用時の凝固管理、敗血症診療、ACP・終末期医療

学会専門医・認定医

日本救急医学会救急科専門医
日本呼吸療法学会専門医

医員
■緒方梨花
(おがたりか)

東京女子医科大2019年卒

専門分野

救急医学

医員
■梶原康佑
(かじわらこうすけ)
香川大2019年卒

専門分野

救急医学

学会専門医・認定医

BLSプロバイダー
ACLSプロバイダー
JATECプロバイダー
日本集中治療教育研究会 FCCSセミナー修了
厚生労働省開催指針準拠 緩和ケア研修会修了

医員
■菊岡吉朗
(きくおかよしろう)

専門分野

救急医学

学会専門医・認定医

準備中

専攻医
■佐久間淳
(さくまじゅん)

琉球大2007年卒

専門分野

救急医学

学会専門医・認定医

日本外科学会外科専門医
日本消化器外科学会消化器外科専門医、消化器がん外科治療認定医
日本食道学会食道科認定医
日本ロボット外科学会国内B級
日本内科学会認定内科医
厚生労働省麻酔科標榜医
日本DMAT隊員
外傷外科医養成研修修了
JATECプロバイダー
MCLSプロバイダー

専攻医
■前川夏穂
(まえかわなつほ)

札幌医科大2018年卒

専門分野

救急医学

専攻医
■石川裕二
(いしかわゆうじ)

札幌医科大2020年卒

専門分野

救急医学

学会専門医・認定医

アメリカ心臓協会(AHA) ACLSプロバイダー
JATECプロバイダー
厚生労働省開催指針準拠 緩和ケア研修会修了

専攻医
■稲益郁
(いなますふみ)

久留米大2020年卒

専門分野

救急医学

学会専門医・認定医

ACLS-EPプロバイダー
ACLSプロバイダー
FCCSプロバイダー
ICLSプロバイダー
横浜救急医療チームYMAT隊員
厚生労働省開催指針準拠 緩和ケア研修会修了

専攻医
■田中飛翔
(たなかつばさ)

山口大2020年卒

専門分野

救急医学

専攻医
■井上拓海
(いのうえたくみ)

名古屋大2021年卒

専門分野

救急医学

専攻医
■眞戸原尚輝
(まとはらなおき)

新潟大2021年卒

専門分野

救急医学

学会専門医・認定医

ICLSインストラクター
FCCSプロバイダー

専攻医
■野沢健太郎
(のざわけんたろう)

愛媛大2022年卒

専門分野

救急医学

学会専門医・認定医

厚生労働省開催指針準拠 緩和ケア研修会修了

専攻医
■平田薫
(ひらたかおる)

千葉大2022年卒

専門分野

救急医学

学会専門医・認定医

BLSプロバイダー
ACLSプロバイダー
FCCSインストラクター

 

後期研修医募集

救急医を目指すあなたへ! こしのりょう先生オリジナル東部病院ER漫画

救急科の紹介

東部病院の救急科の歴史は、済生会神奈川県病院交通救急センターの設立までさかのぼることができます。1965年に設立された交通救急センターは、日本医科大学や大阪大学と共に日本の救急医学のルーツと言われ、日本の救急医療、とくに重症外傷診療の歴史とともに歩んできました。2007年の東部病院開院後は東部病院救命救急センターが、その機能と歴史と伝統を引き継いでいます。現在の東部病院救急科も以下の3つの部門に代表されるような、日本でも屈指のレベルを誇る、先進的救急部門として活動しています。

  • 救急・外傷外科(Acute Care Surgery)部門では重症外傷患者の診療に加えて、急性腹症などの内因性緊急手術も担っていて、外科と連携をしながら、救急科で日常的(年間約500件)に緊急手術をしています。このような外傷と救急を組み合わせた外科部門は、今世紀になって米国でAcute Care Surgeryという新しい概念として生まれたもので、最近では日本でも注目されるようになりました。東部病院はいち早くこの概念の下に部門を立ち上げ、2010年に第2回日本Acute Care Surgery研究会2017年に第31回日本外傷学会総会・学術集会を主催、2018年には、日本外傷学会よる銃創・爆傷患者診療指針の作成に協力するなど、日本を牽引する部門として存在感を発揮しています。(ぜひご覧ください→『腹部外傷の臨床』元済生会神奈川県病院院長著 ※現在絶版)

  • 救急放射線IVREmergency Radiology, Interventional Radiology)部門は、救急科専門医、放射線科専門医、IVR専門医の資格を持つ指導医のもと、読影と緊急IVRを担っています。救急と外科部門と同様、救急と放射線・画像部門の密接な協力関係も東部病院の特徴で、救急科の医師も術者として多くの緊急IVRに携わっています。DIRECT研究会Diagnostic and Interventional Radiology in Emergency, Critical care, and Trauma:救急医療における画像診断とIVRを考える会)の事務局として数多くのセミナーを主催したり、IABO/REBOAに関する学会提言を取りまとめるなど、東部病院はこの部門でも日本のトップレベルとして注目されています。前済生会神奈川県病院院長参加のFASTの国際コンセンサスカンファレンス』もぜひご覧ください。

  • 救急集中治療(Emergency & Critical Care)部門では、救命救急センター病棟に入院したあらゆる重症患者の診療にあたります。救命救急センターに入院する年間千数百人の患者の9割以上で救急科が主科となり、PCPS, ECMO, 血液浄化などの高度な集中治療も自科で担当しています。東部病院救命救急センターは2016年から日本集中治療医学会専門医研修認定施設としても指定され、救急科専門医取得後の集中治療専門医取得も視野に入れながら研修を積むことが可能になりました。

厚生労働省が発表した『2019年 救命救急センターの評価結果について』において、東部病院同センターは、全国292施設の救命救急センター中10位、大学病院以外では全国3位にランクインしました。

特徴

他の病院にない、特筆すべき東部病院の特徴としては、2015年に横浜市重症外傷センターに指定されたこと、2017年にHybrid ERが稼働したことです。横浜市重症外傷センターは米国の外傷センターのシステムを参考に作られた制度で、横浜市内の9カ所の救命救急センターのうち、重症外傷患者に対する緊急手術、IVR、集中治療を行うスタッフや体制が充実している2カ所のみ(横浜市立大学附属市民総合医療センターと東部病院)を重症外傷センターとして指定し、地域の重症外傷患者が集約されるようになりました。このように自治体が主導して地域全体で取り組んでいる重症外傷センターのシステムは、本邦では横浜市が初めてです(その後、20184月に岐阜大学医学部附属病院が岐阜県から岐阜県救急外傷センターの指定を受けています)。その重症外傷センターに東部病院が指定されているということは、東部病院が通常の救命救急センターの機能にとどまらず、さらにその上を目差していると言うことを如実に示しています。

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そして、2017年10月にはHybrid ERが稼働しました。Hybrid ERとは、初療室・手術室・CT室・血管造影室の4つの機能が集約されて救急患者専用に救急初療室(ER)に配備されているもので、当院は全国で10番目の導入施設になります(20186月現在、本邦では11施設が稼働)。また、当院のHybrid ER2ルームタイプという非常にユニークな構造になっていて、CT装置が2つの部屋を移動して、どちらの部屋でも撮影可能です。2ルームタイプのHybrid ERは、まだ全国でも2施設にしか導入されていない、まさに最先端の治療施設です。例えば重症肝損傷の患者では、患者を移動することなく緊急開腹術と同時にIABO(大動脈内バルーン閉鎖)やTAE(経動脈的塞栓術)を行うことが可能です。また重症骨盤骨折患者に対しては、ガーゼパッキング、TAE、創外固定などの治療を連続して行うことが可能となります。まさに今までとは一線を画する治療戦略を用いることができるので、Hybrid ERとは、外傷診療におけるパラダイムシフトと言って過言ではないでしょう。また当院救命救急センターでは三次救急はもちろん、二次救急も含む幅広い救急患者を受け入れていますので、重症外傷だけではなく、心肺停止患者に対する体外循環(ECPR)やショック、脳卒中等へHybrid ER応用も開始しています。20186月には全国の導入施設10施設が中心となってHybrid ER SystemHERS)研究会が設立されました。当院も創設メンバーとして、Hybrid ERの有用性を多方面で発信したいと考えています。

災害医療にも積極的に活動しています。日本DMAT隊員に院内で18人が登録されていて、この数は神奈川県内でも最も多い病院の1つです。2015年の東北・北関東豪雨、2016年の熊本地震でもDMAT隊員をのべ14人派遣しています。

済生会横浜市東部病院 救急科専門研修プログラム

プログラムはこちらをご覧ください

【連携施設】
 当院が基幹施設として:済生会神奈川県病院、慶應義塾大学病院、東邦大学医療センター大森病院、横浜市立大学附属市民総合医療センター、横浜市立大学附属病院、横浜労災病院、平塚市民病院、山梨県立中央病院

当院が連携施設の場合の基幹施設:慶應義塾大学病院、東邦大学医療センター大森病院、済生会中央病院、横浜市立大学附属市民総合医療センター、横浜労災病院、平塚市民病院、山梨県立中央病院

救急科と外科のダブルボードを目指したい方へ!

新しい専門医制度においても、ダブルボードを目指すことは可能です。東部病院の救急科と外科には、ダブルボードを目指す専攻医が常時4~6人程度在籍しており、本邦で最もダブルボードを取得するためのサポート環境と実績を有していると自負していますので、ダブルボードを目指したい方は、是非、東部病院での研修をご検討下さい。

治安が良く、交通事故も急激に減少している日本では、従来の外傷外科(Trauma Surgery)のみを実践していくことは容易くありませんが、米国から発祥して本邦にも広がり始めている“Acute Care Surgery”という、Trauma Surgery, Emergency General Surgery, Surgical Critical Careを包括した新しい急性期外科の概念を実践していくには、本邦では救急科と外科のダブルボードの取得が最適と思われます。出血性ショックのように秒単位・分単位で刻一刻と変化する生理学的な破綻に迅速に対応できる能力を身につけた上で、解剖学や病理学を土台とする系統的な一般外科学を学ぶことで、重症多発外傷や、重度の敗血症性ショックを伴う急性腹症等への対応はもちろん、ダメージコントロール手術やOpen Abdomen(腹部開放療法)、ハイブリッドERなどの特殊な戦略や戦術を駆使しつつ最適な決断と手技を実践する実力が身につくはずです。

また、未確定ではありますが、Surgical Critical Careを学んだ証となる集中治療専門医は、救急科、麻酔科または小児科専門医のサブスペシャリティ領域に認定される見込みです。残念ながら外科専門医のサブスペシャリティ領域には認定されない見込みですので、外科単独ではなく、救急科と外科のダブルボードを取得して、さらに集中治療専門医の取得を目指すことが望ましいと思われます。集中治療専門医取得に必須である12週間連続のICU専従歴も、東部病院では救急科の専門研修期間中に達成できます。

新専門医制度の開始後、救急科と外科のダブルボードの取得には各プログラムに3年、合計6年の期間が必要ですが、その6年間を分断せず、一貫したコンセプトの基で研修を行えることが東部病院の強みです。済生会神奈川県病院に設置された神奈川県交通救急センターの時代から、50年以上もの長きにわたって、外科と救急が一体となった診療を実践しているため、現在の東部病院の救急科と外科も、自然に一体となった強固な連携体制が築かれています。例えば、救急科にはダブルボードを有する指導医が5名在籍し、毎週の外科カンファレンスに救急科の医師も参加しています。さらに外科専門研修プログラムの専攻医は、数ヶ月毎に消化器外科・乳腺外科・血管外科と同様に救急外科をローテートしますが、この救急外科研修は、前述のダブルボードを取得している指導医の下で行われます。

なお、外科の専門研修プログラムは原則として3年連続ですが、救急科の専門研修プログラムは、ダブルボード取得を念頭に、中断と再開が認められていますので、ダブルボードを目指す6年間のプログラムには、下記のような4パターンがありえます。どのパターンにも一長一短はありますので、各専攻医の志向などを考慮しながら選択することになります。なお、パターンDに関しては、まずは外科プログラムに応募して頂く必要がありますので、ご注意下さい。

 

 

1年目

2年目

3年目

4年目

5年目

6年目

パターンA

救急科

救急科

救急科

外科

外科

外科

パターンB

救急科

救急科

外科

外科

外科

救急科

パターンC

救急科

外科

外科

外科

救急科

救急科

パターンD

外科

外科

外科

救急科

救急科

救急科

 

東部病院では、2018年の1年間で、予測生存率(Ps)が50%未満の重症外傷患者を17名救命し、20%未満という極めて救命困難な患者を5名も救命しています。このような優れた成績も、ダブルボードを取得している救急外科医を核として、救急科と放射線診断科のダブルボードを取得している2名の指導医を中心とした緊急IVR体制や、年間約50例のECMOを実践する充実した集中治療体制が整っているからです。ダブルボードを目指したい方は、是非、我々と一緒に、済生会横浜市東部病院で研修をしましょう!!

参考:外科と救急科のダブルボード取得後に目指す資格等

集中治療専門医、消化器外科専門医、外傷専門医、Acute Care Surgery認定外科医

日本腹部救急医学会腹部救急認定医・教育医など

募集要項

・定員:5
・応募期間:決まり次第お知らせします

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