脳血管神経内科

脳血管神経内科について

脳血管神経内科とは、脳、脊髄、末梢神経、筋肉、神経と筋肉のつなぎ目(神経筋接合部)、感覚器に生ずるさまざまな病気を手術ではなく、内科的に治療する科で脳神経センターの内科部門を担当しています。
手足や口が動きづらい、力が入りづらい、言葉が理解できない、言葉が出ない、熱などもないのに頭や首が痛い、酔ったようなめまいが続く、手足や顔面の感覚が鈍い、びりびりとするしびれ感がある、転び易くなった、手足が意図せず動いたり震えたりする、けいれんしたり意識を失ったりする、もの忘れがある、(特に高齢者で)幻覚が見える、筋肉が疲れやすくなった、ご飯をのみ込みづらくなった、などの症状を出している場合に脳血管神経内科の診療範囲である病気の可能性があります(特に手足や口が動きづらい、言葉が理解できない、言葉が出ない、今までにないほどの頭痛があるなどの場合には緊急性を要する場合もあります)。

脳血管神経内科で診る病気

脳血管神経内科で診る代表的な病気には下にお示しするものがあります。

  • 脳血管障害(場合により緊急性を要します):脳梗塞、脳出血
  • 認知症性疾患:アルツハイマー病、血管性認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭葉変性症など
  • 神経免疫疾患:重症筋無力症、多発性硬化症、視神経脊髄炎、ギラン・バレー症候群など
  • パーキンソン病とその関連疾患:パーキンソン病、多系統萎縮症、進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、脊髄小脳変性症、脳血管性パーキンソン症候群など
  • 機能性疾患(てんかんの大きな発作など緊急性を要するものもあります):てんかん、片頭痛、群発頭痛、筋緊張型頭痛など
  • 神経感染症(場合により緊急性を要します):髄膜炎、脳炎
  • 末梢神経疾患:ギラン・バレー症候群、慢性炎症性脱髄性多発神経根ニューロパチー(CIDP)など
  • 筋疾患:皮膚筋炎/多発筋炎、封入体筋炎、筋ジストロフィーなど

診療内容と特色

充実した脳卒中急性期治療体制を備えています

■24時間体制の脳卒中救急医療

脳卒中は1分でも早く治療を開始しなくてはならない病気です。脳神経センターでは24時間体制で脳卒中患者さんを受け入れています。横浜市が推進する脳卒中救急体制の基幹病院として発症4.5時間以内の脳梗塞に対する超急性期血栓溶解療法(rt-PA投与)にはとくに力を入れています。

■脳卒中専用の救急入院病床であるSCUを完備

SCU(脳卒中ケアユニット;6床)は厳しい設置基準をクリアした脳卒中急性期治療の専門病棟です。リハビリテーション科の協力で発症早期からの急性期リハビリを休日も含めて行っています。

■回復期リハビリテーション施設との密接な連携

SCU病棟、脳卒中一般病棟での治療と急性期リハビリに引き続いて、脳卒中の程度によっては回復期リハビリの継続が必要な場合があります。脳神経センターでは地域の多くの回復期施設と連携を図り、切れ目のないリハビリの継続を実践しています。

■院内脳神経外科との強い連携

外来も入院も、脳血管神経内科は脳神経外科と一緒に脳神経センターとして診療を行っています。これによって、内科・外科の枠を越えた患者さんの必要度に応じた高度な専門医療を提供しています。

脳循環評価の専門外来を開設しております

外来で超音波検査、頭部CTMRI、脳血流シンチによる評価を行っております。適応のある患者様は脳血管造影検査を行い、脳神経外科と協力しながら最適な治療を提供いたします。

重症筋無力症など神経筋、免疫疾患の新薬による治療を行っております

当科では神経免疫疾患の治療にも力を入れています。

神経難病のうち免疫に関連する病気、多発性硬化症、視神経脊髄炎、そして重症筋無力症に対する新しい薬がぞくぞくとでてきています。これまでこれらの病気で苦労されている方も新たな治療薬を使うことで再発を予防出来、劇的に症状が改善することが期待できます。新規の方やすでに診断治療を受けていて遠方の病院に通われている方もご自宅近くの当院で継続加療可能です。ぜひご相談ください。

担当医師 川邉清一 
初診日:火曜日、木曜日
再診日:月曜日、水曜日

■多発性硬化症/視神経脊髄炎関連疾患(NMOSD

多発性硬化症、視神経脊髄炎は目の神経や脳、脊髄に炎症を起こす病気で様々な症状を起こします。再発を繰り返すことが特徴です。複数の新薬が発売され、再発をほとんど起こさないようにすることが可能となってきています。

妊娠希望、妊娠中の方にたいしても使用可能な薬があり、ご対応させていただきます。

■重症筋無力症

重症筋無力症は物が二重に見える、瞼が下がるなどの症状から始まり重症になると全身の筋力が低下し呼吸も難しくなるような病気です。目が開かない、歩くことができない、呼吸が苦しいなどの重症の患者さんも新薬を使うことで日常生活を支障なく行うことができるようになっています。

■新規治療薬

当院ではこれらの病気に対する新薬(ケシンプタ、タイサブリ、エンスプリング、ユプリズナ、リツキサン、ユルトミリス、ソリリス、ウィフガード、リスティーゴ、ジルビスク)などの市販されているすべての薬に対して対応可能です。また,さらに新たな治療薬の発売が予想されており、これらの薬に関しても順次、投与できるようにしています。もちろん、従来の治療薬、ステロイド製剤、インターフェロン製剤、ジレニア、テクフィデラ、免疫抑制剤;タクロリムス、ネオーラル、アザニンなど、にも対応しております。

新規導入または、遠方の病院ですでに治療をされている方で通院が困難になっている方も受け入れております。

ケシンプタ
適応疾患⇒多発性硬化症
4週ごとに一回の皮下注になります。自己注射も可能です。病院で注射することもできます。

タイサブリ
適応疾患⇒多発性硬化症
4週から6週に一回、病院で点滴をおこないます。
合併症として進行性多巣性白質脳症をおこすことがあるため定期的に血液検査でリスクを評価しながら使用します。

エンスプリング
適応疾患⇒抗アクアポリン4抗体陽性の視神経脊髄炎関連疾患(NMOSD
4週間に一回の皮下注になります。
自己注射もできます。病院での注射も可能です。

ユルトミリス/ソリリス/ジルビスク
適応疾患⇒抗アクアポリン4抗体陽性の視神経脊髄炎関連疾患(NMOSD
抗アセチルコリン受容体抗体陽性の重症筋無力症(ジルビスクは重症筋無力症のみ)
ユルトミリスは6週間に一回、ソリリスは2週間に一回点滴を行います。
ジルビスクは皮下注射を毎日行います。自己注射可能です。
髄膜炎菌に感染すると重症化する可能性があり、投与開始前に髄膜炎菌予防のためのワクチンが必要です。

ユプリズナ/リツキサン
適応疾患⇒抗アクアポリン4抗体陽性の視神経脊髄炎関連疾患(NMOSD
6か月ごとに点滴を行います。

ウィフガード/リスティーゴ
適応疾患⇒重症筋無力症(抗体の種類,有無によらず使用できます。)
ウィフガードは症状が悪化したときに週1回の点滴を4週間行います。
リスティーゴは同じく症状が悪化したときに週1回の皮下注を6週間行います。病院で注射をする必要があります。

ご紹介くださる先生方へ

担当医師 川邉清一
初診:火曜日、水曜日

急性の症状などで受診が必要な際には初診日以外でもご対応させていただきますのでご連絡をください。眼科、整形外科の先生方からの紹介も積極的に受けています。眼瞼下垂、複視、視力障害、四肢の痺れや麻痺、膀胱直腸障害などの方がいらっしゃいましたらご相談ください。

認知症の専門外来を開設しております

認知症を専門に扱う専門外来のメモリークリニックを整備し、最新の抗体医薬(レカネマブ(レケンビ®))治療はもちろん、ご家族様のケアや社会資源ご利用のサポートなど、認知症患者さんとそのご家族を支えるための診療を展開しております。

メモリークリニック

メモリークリニックについて超高齢社会の現代、認知症高齢者の増加は大きな社会問題になっています。しかし、認知症のお年寄りは多くの場合認知症の自覚がないこともあり、ご自分から医療機関を訪れようとしません。また何度同じことを言っても忘れてしまう、ご家族に対する被害妄想が生まれるといった認知症の患者さん特有の症状によって患者さんとご家族の間に亀裂が生じたり、また患者さんが働かれている場合に職場で失敗を指摘され続け批難の的になったりするのは本当に残念なことです。メモリークリニックでは認知症の診断、薬物治療のみならず社会資源の適切な利用や患者さんとご家族、職場の接し方の見直しなども通じ、患者さんとご家族、患者さんと社会の関係をより良いものにし相互にとって不安やストレスの解消につながることをも目的とします。認知症の行動心理症状(BPSD)が治療の中心となる場合には患者さんご家族のご希望を得て院内の精神科にも相談し密に連携して参ります。また、アルツハイマー病の軽度認知障害~軽度認知症に対する新薬であるレカネマブ(レケンビ®)投与やその副作用管理も含めた幅広い認知症診療に対応しております。

認知症患者さんやご家族が抱きがちなイメージ

認知症に対する根強いイメージ患者さん自身: もの忘れは年齢相応だと思う。 生活ができず漠然と不安があるがどこに相談していいかわからない。 精神科に受診するとなると抵抗がある。 神経内科に認知症というものが結びつかない。 自分を認知症と決めつけてほしくない。

ご家族: もの忘れは年のせいだから仕方ない。 もの忘れぐらいで病院に連れて行けない。 患者さんと言い合いになり、顔も見たくない。 自分の親と喧嘩ばかりのこんな関係になってしまったのが辛い。

認知症の症状に対して、こんな感じで捉えていることはありませんか?メモリークリニックを受診されて診断、治療につながることで今の不安を解消できるかもしれません。また認知症はもの忘れで始まる病気ばかりではありません。中には幻覚(人や動物が見える、家族が別人に見えるなど)や言葉の障害(会話の意味が分からず話がかみ合わない、言葉が出づらくなった)、性格の明らかな変化(以前と比べて明らかに怒りっぽくなった、だらしなくなったなど)で始まる病気もあります。もしかしたら?と思ったらどうぞお気軽に受診ください。

ご開業の先生方へ

メモリークリニック (完全紹介予約制)

場所:2階脳神経センター
予約可能日
毎週火曜 9:00 10:00 11:00(*11:00は隔週)
毎週木曜 9:00 10:00 11:30
担当医:伊達 悠岳

緊急性が高くメモリークリニックの予約を待てない場合には水曜日一般神経内科初診外来(伊達)または木曜日一般神経内科初診外来(木原)でもお引き受けします。外来までご相談ください。

詳しくはこちら をクリックしてご覧ください。

対象者

メモリークリニックを受診される方に多い病気: 軽度認知障害(もの忘れはあるが生活は自立している状態)  アルツハイマー型認知症 血管性認知症 レビー小体型認知症/認知症を伴うパーキンソン病 前頭側頭葉変性症 嗜銀顆粒性認知症 神経原線維変化型老年期認知症 正常圧水頭症(脳神経外科と連携して診療します) 薬剤性の認知機能低下 各種代謝性疾患による認知機能低下 難聴による認知機能低下 老年期うつ病(適宜精神科に連携を取ります)
もの忘れ、幻覚(特に幻視)、徐々に言葉が理解できなくなってきた、言葉数が徐々に減って来た、性格があまりに変化した、などの症状がある場合に受診ください。中には代謝性疾患(血中のナトリウム濃度が低い、ビタミンB群不足など)や難聴や薬剤などによる病気ではない認知機能低下、ということもありますがお気軽に受診ください。

診療内容

初診では
かかりつけの先生からの紹介状を必ず持参していただき、ふだんの生活状況がわかるご家族(2名まで)と一緒に受診していただきます。患者さんご本人とご家族から詳細な問診をとらせていただき、神経学的診察をして、認知症診断に必要な血液検査の採血をいたします。症状に応じて、再診日までの間に神経心理テスト、頭部MRI、脳血流シンチ、脳波、アミロイドPET(レカネマブを使用する可能性がある場合のみ)などを予約いたします(アミロイドPETは現在他施設に依頼して撮影しております)。

再診では
検査の説明とともに経過、神経学所見なども含めた総合的な現時点での診断、考えられる予後をお話しいたしますので、患者さんとともにご家族(2名まで)も初診時と同様に受診していただきます。再診時には必ずかかりつけの先生からの紹介状に対するお返事をお書きし、必要であれば認知症に対する内服薬開始のお願いをいたします。
以上、基本的には初診、検査、再診で当クリニック受診の1シリーズといたします。患者さんによって、半年後または1年後の当クリニックでの経過観察をお願いいたします。ふだんの経過観察、投薬、認知症以外の合併症に関する治療はかかりつけの先生にこれまで通りしていただけるようにお願いいたしますが、症状によって、また投薬内容によっては当院で経過を拝見します。

メモリークリニック受診の手続き

完全予約制で行います。初回受診の予約手続きは、開業医の先生方から地域医療連携室(TEL 045-576-3546)に直接お電話ください。

当日は直接2階脳神経センターにお出でいただくよう、ご案内ください。再診の予約は、メモリークリニック担当医が行います。

入院治療に関して

当病院は急性期病院であり、認知症対応病棟を持たないため認知症の予定入院治療は原則として行いません。当院メモリークリニックかかりつけの患者さんの行動心理症状(BPSD)などでどうしてもご自宅などで状況が立ち行かなくなった場合には外来にてご相談ください。また身体合併症の悪化による緊急入院が必要な場合は、対象疾患の診療科にゆだね、当科も関わり合います。

道路交通法改正における認知症外来予約

 運転免許更新等で75歳以上の高齢者は警察で行う簡易の認知機能検査の結果、認知症の恐れがある場合、公安委員会から医師の診断書提出命令が行われます。この提出命令を受けた高齢者の方は「診断書提出命令書」「医師の皆様へ」という書面を持って医療機関を受診することになります。
 当院では上記理由により受診を希望される方を対象に、下記のとおり診療予約を承ります(診療開始は4月4日から)。その際、選定療養費として7,700円(税込)が実費での負担となります。

受診科

脳血管神経内科
担当医:伊達 悠岳

予約受付

お電話 045-576-3000(平日9:00~17:00受付)にて承ります。

診療日時

隔週火曜日11:00

診療実績

2016年度 2017年度 2018年度
急性期脳卒中入院数 417 429 402
脳出血入院数 142 148 158
脳梗塞・TIA入院数 275 281 244
tPA(超急性期血栓溶解療法)投与数 19 25 18
急性期血栓回収療法施行数 21 12 18

スタッフ紹介

脳神経内科(総合)部長
■川邉清一
(かわべきよかず
)

東邦大1998年卒

専門分野

神経内科全般、多発性硬化症、視神経脊髄炎、重症筋無力症、筋疾患、神経変性疾患

学会専門医・認定医

日本内科学会認定内科医・総合内科専門医・指導医
日本神経学会専門医・指導医
日本脳卒中学会専門医・指導医
日本医師会認定産業医

脳神経内科(脳血管)部長
■笠井陽介
(
かさいようすけ)

山梨大2003年卒

専門分野

脳卒中

学会専門医・認定医

日本内科学会総合内科専門医
日本脳卒中学会専門医
日本神経学会専門医
日本認知症学会専門医

脳神経内科(認知症)部長
■伊達悠岳 (だてゆうがく)
慶應義塾大2007年卒

専門分野

認知症、神経変性疾患(パーキンソン病など)

学会専門医・認定医

横浜市認知症疾患医療センター(済生会横浜市東部病院)センター長
日本内科学会認定内科医・総合内科専門医
日本神経学会専門医・指導医
日本認知症学会専門医・指導医
神奈川県難病指定医
身体障害者手帳第15条指定医(肢体不自由)
臨床研修指導医
慶應義塾大学医学部内科学(神経)非常勤講師
博士(医学)

脳血管神経内科医長
■木原英雄 (きはらひでお)
東邦大2013年卒

専門分野

脳卒中 診断(経食道心エコー等、神経超音波検査)・治療 (tPA療法、ボツリヌス治療)、ボツリヌス治療(眼瞼痙攣、痙性斜頸、痙縮)、神経内科全般

学会専門医・認定医

日本脳卒中学会専門医
日本内科学会認定内科医
日本認知症学会専門医・指導医
日本神経学会専門医
神奈川県難病指定医
臨床研修指導医
医学博士

脳血管神経内科専攻医
■鳥谷直紀 (とりやなおき)
長崎大2021年卒

専門分野

脳血管神経内科

統括院長補佐
■丸山路之
(
まるやまみちゆき)

新潟大1983年卒

専門分野

脳血管障害の診断と治療(神経超音波検査・脳血流SPECT検査・脳血管造影検査)

学会専門医・認定医

日本脳卒中学会専門医
日本内科学会総合内科専門医・指導医
労働衛生コンサルタント

診療予約・変更・確認・取消

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