乳腺外科

乳腺外科について

 我が国では年間7万人以上が乳癌と診断されています。これは全部位の20%を占め女性のがんの中では最も頻度が高い部位となっています。社会において重要な役割を果たしている40代後半から50代前半で罹患率のピークがあることが特徴です。

 当院の乳がん治療は、乳腺外科、放射線診断科、病理診断科、放射線治療科などの多くの科の専門医、看護師、放射線技師、薬剤師などが協力して、最新の医療を提供することを目標としています。科学的根拠に基づく診療が基本となりますが、すべての患者さんに同じ治療が適切とは限りません。患者さんの希望、生活スタイルを考え、ご本人と相談の上、治療を決めていきます。

 また近年の乳がん治療の進歩に伴う生存率の向上は、手術に伴う合併症や長期にわたる薬物療法の副作用、再発への不安、就労問題や経済的問題など様々な困難をもたらします。これらの問題に対して乳がん看護認定看護師を中心に多職種が連携して支援しています。

 

乳腺外科で診る病気

 乳がんの治療を中心に乳腺炎、乳腺症といった良性疾患も扱っています。

 

診療内容と特色

乳がん検診について

 がん検診は国政のがん対策の一環として施行される「対策型がん検診」とそれ以外の個人の利益を目的として施行する人間ドックなどの「任意型がん検診」に大別されます。当院ではいずれの検診も行っておりません。検診をご希望の方は、東神奈川駅最寄りの済生会神奈川県病院の予防医療センター(直通電話045-432-1117)をご利用ください。

 

乳癌検診異常(精密検査)

 他施設での検診で異常を指摘された場合の精密検査を行っています。超音波検査や乳房トモシンセシス検査、MRIなどの画像検査による良悪性の判定と、病変に対する細胞診、針生検、摘出生検といった病理検査を行い迅速な診断に努めています。ステレオガイド下吸引式針生検では乳房トモシンセシス装置の導入により検査時間が短縮し患者さんの負担軽減に繋がっています。

 

乳房トモシンセシス検査

 乳房トモシンセシス検査は圧迫された乳房を短時間でスキャンし複数の角度で画像収集する3次元撮影技術です。従来の2次元マンモグラフィ撮影では乳腺の濃度や厚みのため、病変と周囲の組織が重なってしまう欠点がありましたが、乳房トモシンセシス検査では、組織の重なりを減少することができるため精度の高い検査が可能となります。診断精度の上昇に加え再検査率の減少、および3Dでの病変位置の特定など多くの効果が期待できる検査です。撮影時にはマンモグラフィと同様に、乳房の圧迫時に痛みを感じることがあります。豊胸術施行の方は、内容物破損の可能性や診断可能な範囲が限られるため必ず申し出てください。問診の上、実施可能か判断します。また、ペースメーカー装着の方は、撮影時の圧迫により位置がずれることや、リード線に支障を来す恐れがありますので、原則検査を受けることはできません。

 

 

乳がんの治療について

 乳がんは局所病としての傾向が強い病態から全身病としての傾向が強い病態まであると考えられています。局所病の傾向が強い場合は局所治療(手術や放射線治療)が重要ですが、全身病の傾向が強い病態では薬物療法が重要となります。がんの性質や広がりに応じた手術を行い、病理結果から微細ながん細胞が全身へ広がっている可能性を予測し、全身療法(化学療法、ホルモン療法、分子標的治療)、局所治療(放射線療法、追加手術)が行われています。

 

手術療法

 手術療法はがんが存在する部位から一定の正常組織をつけて乳房の一部を切除する乳房部分切除術と乳頭乳輪を含めて乳房を全て切除する乳房切除術に分けられます。がんを取り残さないことが手術の大前提ですので、がんの広がりが大きい場合には乳房切除術が選択されます。乳房切除術が推奨されるような大きな腫瘍の場合でも、術前薬物療法で腫瘍が縮小すれば乳房部分切除術ができることもあります。

 入院期間は術式に関わらず5日間(手術当日入院の場合は4日間)となっています。

 

センチネルリンパ節生検

 センチネルリンパ節とは乳房内から乳がん細胞が最初にたどりつくリンパ節と定義され多くの場合は腋窩の脂肪の中に存在しています。このセンチネルリンパ節を手術中に摘出し、がん細胞があるかどうか(転移の有無)を顕微鏡で調べる一連の検査をセンチネルリンパ節生検と呼びます。センチネルリンパ節にがん細胞がなければ、それ以外のリンパ節にも転移がないと考えられますので腋窩リンパ節郭清を行いません。当院では高い精度が得られるラジオアイソトープ(RI)・色素併用法によるセンチネルリンパ節生検を行っています。

薬物療法

 抗がん剤、内分泌療法、分子標的治療薬などを治療の目的や病状に応じて投与します。手術前にしこりを小さくするために行われる術前化学療法、術後に全身のどこかに潜んでいるがん細胞を根絶するために行われる術後化学療法あるいは術後内分泌療法、最初から他の臓器に転移があった場合や再発を治療するための治療に分けられます。

 薬物療法は当院または済生会神奈川県病院で施行しています。

地域医療連携について

がん地域連携パス

 「がん地域連携パス」とは、がん診療連携拠点病院である当院で手術や化学療法などの治療を受けた後、かかりつけ医としての連携先医療機関(一般病院および診療所)と共同してその後の診療継続をする場合に、患者さんの診療計画、検査結果、治療経過を共有して、切れ目のないがん診療を継続するためのツールです。
 がん地域連携パスの利用により、通院時間の短縮や通院費用の軽減、診察の待ち時間の短縮が期待できます。また複数の主治医のもとで診察を受けていただくことで、がん以外の病気や、すでにかかっている病気に対しても、身近に相談することができます。治療計画や経過が把握しやすく重複した検査・投薬を避けることができます。

診療実績

乳がん手術件数の推移

名称未設定 6

スタッフ紹介

医長
■須磨﨑 真(すまざきまこと)
東邦大2010年卒

専門分野

乳腺外科・消化器外科

特に専門としている領域

乳癌手術、乳癌薬物療法、チーム医療

学会専門医・認定医

日本外科学会専門医
日本乳癌学会乳腺認定医
日本乳がん検診精度管理中央機構 検診マンモグラフィ撮影診療放射線技師
厚生労働省 臨床研修指導医

診療予約・変更・確認・取消

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