臨床工学部

患者さんへ

ごあいさつ

臨床工学部は、皆臨床工学技士という国家資格を持っており、
呼吸、循環、代謝などの生命維持に欠かせない機能を補助あるいは代行する
医療機器の操作を中心とした業務を専門に取り扱う部署です。
当院では多くの生命維持管理装置を保有しております。
そのため、常に様々な対応ができるように24時間365日休むことなく就業しております。
“臨床工学部”は院内の重要部署へチーム配置しております。
業務内容については、次に述べますチームごと、新しく拡大している項目を中心に紹介いたします。

臨床工学部 副部長 大石 英治

 

 

 

臨床工学部の業務内容について

当院では臨床工学技士としての様々な業務を習得できます。

入職し2年ほどは各チームへ数カ月単位で移動し、夜勤対応ができるように教育いたします。
インターベンションセンター、透析室、集中治療関連、MEセンター、手術室業務について紹介いたします。

 

インターベンションセンター


専属臨床工学部スタッフ

 

インターベンションセンターにおける業務は大きく4つに分けられ、
狭心症や心筋梗塞等の検査・治療を担当する冠動脈業務、
カテーテルアブレーションやペースメーカ等の各種植え込みデバイスを担当する不整脈業務、
PAD(末梢動脈疾患)等の末梢血管治療を担当する末梢血管業務、
2012年1月から新規設置されたHybrid手術室にてEVAR(腹部大動脈ステント、ステント内挿術)やPTAV(経皮的大動脈弁形成術)等を手術室担当臨床工学技士と共同担当するHybrid業務となる。
それぞれの業務分野においてチーム内で専属化がなされており、
医師や術者からの要求や依頼に高度な専門性を持って対応できるシステムを構築しています。
また、学会等の院外活動も積極的に行っております。

臨床工学部インターベンションセンター専属メンバー

臨床経験 専門分野
川﨑 誠 16年 冠動脈、末梢血管、不整脈
笹岡 俊介 12年 冠動脈、末梢血管、不整脈
田澤 美生子 4年 冠動脈、不整脈
島田 一生 4年 冠動脈、Hybrid
政木 拓也 3年 冠動脈、不整脈
山田 裕紀 5年 冠動脈、末梢血管

 

 

冠動脈業務

狭心症や心筋梗塞に代表される虚血性心疾患は、
心臓に酸素を供給する冠動脈が狭窄したり閉塞したりする事で発症します。
これらを治療する手段として、バルーンやステントを使用して血行再建を行う
PCI(経皮的冠動脈形成術)が広く普及しており、
当院ではCAG(冠動脈造影)とPCIを合わせて年間3000症例以上を施行しており、
我々も幅広い業務で術者の手技が円滑かつ安全に行われるようにサポートしております。

臨床工学技士が行う冠動脈業務
ポリグラフの操作、解析、メンテナンス/IVUS、OCT、FFR等の各種診断機器の操作、解析/
ロータブレータの操作、メンテナンス/各種デバイス出し/
カテ台帳システムの入力、解析、データ管/
各種治験・スタディのデータ入力、管理/院内ライブシステムの操作

ロータブレータの操作

イメージングデバイスの操作

補助循環装置の操作

カテーテル台帳の管理

末梢血管
PADとは、下肢動脈や鎖骨下動脈、腎動脈等の末梢血管の狭窄や閉塞を起こす疾患を総称して言います。
これらの動脈や透析シャントに対してバルーンやステントを使用して血行再建を行う治療法が
末梢血管インターベンション(EVT:Endo Vascular Therapy)です。
当院ではEVTを年間350~400件程施行しています。

臨床工学技士が行う末梢血管業務

ポリグラフの準備、操作/IVUS(血管内超音波検査)やFFR(冠血流予備量比)等の操作、解析/
各種デバイス(診断、治療用)出し/アシスタントオペレーター/カテ台帳システムの入力、解析、データ管理

不整脈業務
不整脈とは、様々な原因により心拍数が異常に多くなる(頻脈)、
あるいは少なくなる(徐脈)ことを言います。
不整脈に対して行われる植込みデバイス術(ペースメーカなど)から
カテーテルアブレーション術(カテーテルの先から高周波電流を流して、生体組織を切る電気焼灼)までの治療に
全て臨床工学技士が関与しています。
また緊急時の植込みデバイスチェックやカテーテルアブレーションにも対応できるような体制をとっております。


3Dマッピングシステム操作

電気刺激装置操作

プログラマー/アナライザー操作

臨床工学技士が行う不整脈業務

ペースメーカ、植込み型除細動器(ICD)/両心室ペースメーカ(CRT-P)/
両室ペーシング機能付き植込み型除細動器(CRT-D)植込み術の立会い/植込みデバイス外来フォローアップ管理/
植込みデバイスホームモニタリング管理/電気刺激装置操作及び管理/
アブレータ操作及び管理/ 3Dマッピング(CARTO system、Ensite system )の操作及び管理/植込みデバイス、カテーテルアブレーション台張管理

資格認定取得
不整脈治療専門臨床工学技士:2名

 

 

Hybrid 業務

CAG、PCI、EVTといった内科系だけでなく、
EVAR、脳コイル塞栓術(血管内手術)、下肢治療等外科系にも携わり、
手術部門と連携をとって業務を行っています。
将来的には経カテーテル的大動脈弁置換(植込み)術(TAVI)や
緊急外傷等の外科的緊急にも対応できるようにしていきます。

透析室

当院の透析室は10床からなり、
透析治療を新たに始められる方や当院に入院中の維持透析患者さんへ透析治療を提供しております。
その中で臨床工学技士は透析治療だけでなく、
潰瘍性大腸炎に対する白血球除去療法や難治性腹水に対する腹水濾過濃縮再静注法、
血漿交換療法等、様々な特殊血液浄化療法にも対応しております。
透析治療には様々な医療機器を使用しますので、
装置点検を定期的に行い安全な治療ができるように日々努めております。

HD(血液透析)とは…
血液透析用コンソール
血液透析用コンソール

腎臓の機能が低下した患者さんの血液を、写真のコンソールを用いて体外へ出し、
ダイアライザという半透膜の膜を用いて患者さんの体内に不要な物質を除去し、
腎臓の機能の一部を代行する血液浄化療法です。

透析液清浄化

透析治療には水(透析液)がとても重要です。
透析液が汚染されていると様々な合併症を引き起こすことになり、
患者さんの生命予後にまで影響を及ぼす可能性があります。
当院では定期的な水処理装置の洗浄や透析液供給装置及び各コンソールにエンドトキシン捕捉フィルターを設置することによって、
透析液の清浄化に努めております。評価は日本透析医学会『透析液水質基準と血液浄化器性能評価基準2008』に準じて行い、当施設は基準値をクリアしております。

水処理装置
水処理装置

集中治療センター/救命救急センター

24時間365日、臨床工学技士が生命維持管理装置の操作管理を行います

集中治療センター・救命救急センターにはそれぞれ集中治療室があり、人工呼吸器や血液浄化装置、
補助循環装置などの様々な生命維持管理装置が24時間稼働しています。
臨床工学技士が集中治療室に日中は2名以上が勤務し、
夜間も含め24時間これら生命維持管理装置の操作管理を行っています。

呼吸療法業務
人工呼吸器は大手術後や急性呼吸窮迫症候群(ARDS)のような重篤な肺炎など、
様々な状態の患者さんに広く使用されています。
臨床工学部では人工呼吸器の使用前・中の点検業務はもちろんのこと、
それ以外にも排痰を目的に用いられる陽・陰圧体外式人工呼吸器(RTX)や
肺内パーカッション換気療法(IPV)、重症呼吸不全に使用する膜型人工肺(ECMO)などの
臨床技術提供を積極的に行っています。


集中治療室内の人工呼吸器
安全に使用するための点検
RTXを操作する臨床工学技士
安全な手術ための組立
IPVの施行準備

急性血液浄化療法業務
血液浄化療法は腎不全や敗血症、肝不全、多臓器不全、薬物中毒、免疫疾患といった
様々な患者さんに使用され、血中の毒素や不要物の除去・電解質調整・
水分のコントロールなどを目的に行われます。
臨床工学部では循環動態が不安定な腎不全患者さんにも安全に施行することのできる持続的腎代替療法(CRRT)や敗血症ショック症例や間質性肺炎の急性増悪に対するエンドトキシン吸着(PMX-DHP)、
小児急性肝不全に対する人工肝補助療法(ALS)などの様々な血液浄化療法に積極的に対応しています。

CRRTとPMX-DHPの同時施行

血液透析(左)と血漿交換療法(右)の併用

大動脈バルーンポンピング(IABP)や経皮的心肺補助(PCPS)、
体外式ペースメーカなどの補助循環装置は心臓の機能が低下した患者さんをサポートする目的で用いられます。これらは心臓機能の代行するものになるため停止することは許されません。
特に近年増加しているPCPSを使用した心肺蘇生法は一刻を争う、より迅速な対応力が求められます。
臨床工学部ではこれらの補助循環装置に精通した臨床工学技士が十分にトレーニングを積み、
24時間いつでも対応しています。


PCPS(左)とIABP(右)

PCPS装置を点検する臨床工学技士

チーム医療を支える一員として
カンファレンスや回診、症例検討会への参加や医師、看護師に対する医療機器の勉強会の実施などを通して
他職種と連携し、チーム医療を支える一員として活動しています。


臨床工学技士も参加する集中治療室カンファレンス

学術活動
日本集中治療医学会、日本呼吸療法医学会、日本急性血液浄化学会、日本臨床工学会などの
学術集会や研究会などで積極的に発表を行っています。
ICU担当チーム内における勉強会の実施や、院外で行われる勉強会への積極的な参加を通して
技術と知識の向上に努めています。

MEセンター

医療機器保守管理
今日の医療現場において医療機器は欠かせないものとなっていて、
病院内では多種多様な医療機器が日々使用されています。
それらの機器をMEセンターで中央管理し、日常点検や定期点検などの保守点検や修理を行い
常に医療機器が安全に使用できるように努めています。
使用中の機器に関しては毎日病棟をラウンドし、
体外式ペースメーカや人工呼吸器が適切に動作しているかのチェックを行っています。


人工呼吸器の定期点検
 

院内研修
医療機器は定期的な保守を行っても、正しく使用されなければ安全とは言えません。
そのため医師・看護師などに向けて安全に医療機器を使用してもらうことを目的とした研修を開催しています。例えば、4月に新入看護職員に対する輸液ポンプ、シリンジポンプやモニターなど看護師が使用頻度の多い医療機器を中心に研修を開催し、その後もフォローアップ研修等を行っています。また、中途採用入職者の方対象への研修もオリエンテーションプログラムの一貫として開催しています。


新人看護師への医療機器研修会

NICU(新生児特定集中治療室)への関わり
NICUでは人工呼吸器管理やNO療法など呼吸器関連の業務と保育器等の医療機器の保守点検。
また、新生児に対する低体温療法や急性血液浄化業務にも積極的に取り組んでいます。

在宅人工呼吸器導入
在宅で人工呼吸療法を導入する場合は、自宅でも安全に人工呼吸器を使用して頂くために患者さん、
患者さんのご家族に対して呼吸器の使い方や手入れの仕方等の指導を行い、
退院までのサポートを行っています。

重症心身障害児(者)施設サルビアへの関わり
当院では重症心身障害児(者)施設を併設しており、利用者さんの中には人工呼吸器を使用している方もいます。施設でのクリスマス会やサルビアフェスティバル等の行事やコンサート鑑賞等の院外活動が行われていて、それらの活動の時にはMEが人工呼吸器のバッテリー乗せ替えや様々な準備を行うことで人工呼吸器を使用している利用者さんの安全な活動範囲を広げられるようにしています。

手術センター

現在行われている外科系手術には、様々な医療機器が使用されています。
医療機器なしでは行うことができない手術も多く存在します。
臨床工学技士は医療機器を安全かつ有効に使用するため、
劣化や故障がないか定期的に点検を行い、実際に手術に立ち会って機器操作をしています。
また手術室のチーム医療の一員として、他職種スタッフに対して医療機器の勉強会の開催や
症例検討カンファレンスの参加などを行っています。

手術室内にある様々な医療機器

医療機器の点検業務について
手術が安全に行えるように、毎日手術室の始業・終業点検を行っています。
手術中に医療機器の不具合が発生することもあるので、
迅速に対応できるように常時1名以上を配置しています。
また、医療機器を定期的に点検し、事前に機器トラブルを回避できるように努めています。


各手術室の始業・終業点検

医療機器の定期点検

医療機器の操作業務について
臨床工学技士が手術に立ち会って操作する医療機器には、人工心肺装置・ナビゲーションシステム・自己血回収装置・レーザー手術装置・造影剤自動注入器、血管内超音波装置などがあります。
更に2012年から導入となった医療支援ロボットの機器の設置・立ち上げも行っています。
また専属スタッフ4名の内、常時2名の技士が24時間365日対応できる体制をとり、
年間150例を超す人工心肺業務や大動脈ステントグラフト内挿術に対応しています。


人工心肺業務

医療支援ロボットの機器設置

チーム医療に対する業務について
手術室で働く他職種スタッフにも医療機器を安全に操作してもらうため、機器の勉強会を行っています。
また、手術に立ち会って機器操作をする際、手技に応じた操作が行えるように
医師や看護師が行う症例検討カンファレンスに参加しています。


多職種に対する勉強会

症例検討カンファレンス

各種認定について

臨床工学部ではスキルアップのため各種学会認定士取得に積極的に取り組んでいます。以下に取得可能なものを列記します。

※院内では、各種認定士を中心に、若手への教育指導の徹底を図っています。

医療関係者の皆様へ

臨床工学技士の皆さまへ

「ごあいさつ」で述べましたように、私たちは他の施設への“手本”となるように日々努力しています。業務内容などについては積極的に公開していますので、見学や研修など希望がございましたら、遠慮なくお申し出ください。

学生の方々へ

臨床実習については、昨年度から受け入れを開始しました。実習内容については、試行錯誤の段階ではありますが、あらゆる分野を網羅しておりますので、実習をご希望の際にはご連絡ください。就職活動等での病院見学につきましては、随時受け付けています。

企業の方へ

ご訪問いただく際には、ご面倒ではありますが、事前に何らかの方法にてご連絡のうえ、日時を決定してください。臨床工学部では、各疾患領域あるいは医療機器別に専門担当者を設けています。

研究業績