社会福祉法人 恩賜財団 済生会横浜市東部病院

私たちは、医療を通じて生命を守ります。

患者さん・一般の方へ

肝臓消化器グループ

地域医療と高度専門医療を継ぐ架け橋として

小児肝臓グループ  2015年4月に小児肝臓消化器科は消化器センター部門へと移り、約1年が経過しました。オンコール体制を整えて、いつでも患者さんのご紹介を受け付けております。
 わが国の小児科は、肝臓・消化器を専門にしている施設は首都圏のみならず、全国的にも極めて少ないのが現状です。当科では肝臓学会認定の肝臓専門医の資格を有する小児科医と消化器内視鏡学会認定の消化器内視鏡専門医、ならびに消化科管学会認定胃腸科専門医、小児栄養消化器肝臓学会認定医の資格を有する小児科医が参集し、常に小児専門医による高度な肝臓・消化器専門医療を展開しております。また、病棟には常に専門診療を必要とされている患者さんがいらっしゃいます。専門外来には紹介を受けた患者さんが全国各地から来られます。
 肝生検、消化器内視鏡上部・下部・ERCPの症例数は下記表をご覧ください。2010年からは小腸カプセル内視鏡を、翌年からはダブルバルーン小腸内視鏡も始め沢山の新たな診断につながっています。お子さんのおなかの症状で少しでも気になることがございましたら、ぜひ当科へお越しください。

小児肝臓消化器科  部長  乾 あやの

急性胃腸炎から急性肝不全まで

 私どもはロタウィルス、ノロウィルスなどによる急性胃腸炎や慢性便秘症といったcommon diseasesはもちろん、ちょっとした肝機能異常やメタボリックシンドロームから肝移植が必要となる可能性のある急性ならびに慢性肝不全といった高度医療を必要とする疾患まで幅広く診療しております。急性胃腸炎 診療では、開院当初から経口補水療法の指導・普及を行っており、現在小児急性胃腸炎診療ガイドラインの作成にも携わっております。
 また、2013年に発表されました小児慢性機能性便秘症診療ガイドライン作成にも、当科医師および管理栄養士が関与しており、ガイドラインに準じた診療を行っております。急性肝不全では治療の標準化を目指し、集中治療科や他職種とも連携し、当院の治療プロトコール(十河ら.日本小児科学会雑誌2013;117,718-731)を作成し、いつでも受け入れ可能な体制を構築し、国立成育医療研究センター臓器移植センターや慶應大学小児外科とも連携し、救命率の向上に努めてまいりました。
 また、自己免疫性肝炎や原発性硬化性胆管炎の診療ガイドライン作成については、「難治性の肝・胆道疾患」に関する研究班に参加して内科医とも意見交換をしております。
 急性胃腸炎、便秘、肝機能異常などの身近な疾患から肝不全などの高度専門疾患まで、子どもの肝臓消化器疾患は、私ども「小児肝臓消化器科」までご紹介ください。

肝臓・胆嚢・膵臓疾患群

急性肝炎、慢性肝炎(B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス)、劇症肝炎、急性肝不全、肝硬変、門脈圧亢進症、先天性かん線維症、自己免疫性肝炎、家族内進行性肝内胆汁うっ滞症、胆道閉鎖症、総胆管のう腫、原発性硬化性胆管炎、脂肪肝(NASH)、薬剤性肝炎、代謝性肝疾患(糖原病、ウイルソン病、シトリン欠損症など)、体質性黄疸、胆石症、胆のう炎、急性膵炎、慢性膵炎 など

消化器病疾患群

難治性下痢症、胃食道逆流症、肥厚性幽門狭窄症、胃十二指腸潰瘍、潰瘍性大腸炎、クローン病、急性虫垂炎、過敏性大腸炎、アレルギー性胃腸症、好酸球性消化管疾患、血管性紫斑病、小腸重積、慢性便秘症、急性胃粘膜病変、食道静脈瘤、若年性ポリープ など

すべての子どもたちの健全な育成のためのトータルケアを目指して

慢性肝炎の治療

 小児期における慢性肝炎は症状がほとんどないため、見過ごされることが多い疾患です。小児期には無症状であっても将来、肝硬変や肝がんを発症する可能生があります。私たちは慢性肝炎をきたす肝炎ウイルス感染症、自己免疫性肝疾患(自己免疫性肝炎、原発性硬化性胆管炎)などを的確に診断し、肝硬変になる可能性がある小児には治療を行っています。具体的にはB型慢性肝炎に対してはペグインターフェロンや核酸アナログ製剤などを用いて専門医療を展開し、肝硬変や肝がんへの進展を阻止しています。また、B型肝炎ワクチン接種についての様々な 疑問にもお答えします。
 自己免疫性肝炎には私たちが考案し、現在わが国の小児では標準的な治療法となっているステロイドパルス療法を行っており、自己免疫性肝炎診療ガイドライン(http://www.nanbyou.or.jp/upload_files/AIH-Guideline.pdf)にも掲載されました。原発性硬化性胆管炎は自己免疫性肝炎と似たような臨床像を呈しますが、治療法や予後も異なります。私たちは原発性硬化性胆管炎を正確に診断し、治療を行っております。
 自覚症状のない小児の慢性肝炎は、普通の日常生活を送りながら治療することが重要であり、遠方から来られる患児には地元の主治医に日常診療をお願いし、患児の進学や進級に支障のないように専門外来にて診療を行っています。

胆汁うっ滞症・代謝性肝疾患の診断と治療

 かつては特発生新生児肝炎症候群といわれていた胆汁うっ滞症から多くの独立疾患が発見されました。私たちは独自の病理学的診断に加え、他の施設と共同で遺伝子検索を行い、適切な診断、治療、栄養療法を行っています。栄養療法は栄養支援チーム(NST)と連携し、常に発育に注意しています。
 主な疾患としてシトリン欠損症、アラジール症候群、家族性進行性肝内うっ滞症、ウィルソン病、糖原病があります。このうち、シトリン欠損症とウィルソン病は全国規模の患者会に看護師、チャイルドライフスペシャリスト、栄養士、薬剤師が参加し、患者さんと共により良い医療、QOLの向上を目指して活動して参ります。特にウィルソン病では小児患者、若年成人患者が中心となって作った「こどもチーム」の活動と自立は目覚ましく、毎年春に開催される患者会が患者とご家族、医療スタッフの楽しみの一つとなっています。

便秘症の治療

 便秘症は日常的によく遭遇する疾患ですが、軽視されがちな疾患でもあります。また、排便という非常にデリケートな問題でもあり、子供達も症状を十分に説明しなかったり、親御さんも誰にも相談できずに密かに悩みを抱えておられたりしている場合も少なくありません。
便秘の症状として、便失禁や「おむつがなかなか外れない」といった症状があり、このような場合には「排便は躾の問題」との認識から、お姑さんから責められたお母さんが一人で悩みを抱えておられることもあります。子供達自身も、自尊心が傷つき、一見、平気そうにしていても、悩みを抱えていることがあります。
 子供の便秘症の多くは、生活習慣の改善、排便習慣の改善、食習慣の改善、酸化マグネシウムなどの緩下剤の投与で改善します。しかし、直腸に便塞栓があると、これらの治療のみでは改善しません。便塞栓がある場合に、まずは便塞栓を除去してから、維持療法として酸化マグネシウムなどを開始します。
 私共は便塞栓を伴う重症な便秘の子供達には外来治療よりも入院をして、@便塞栓除去、A排便コントロール、Bトイレットトレーニング、C器質的疾患の除外、を1〜2週間かけて行うことをお勧めしております。治療には医師、看護師、チャイルド・ライフ・スペシャリスト、保育士、管理栄養師、薬剤師、臨床心理士からなる「Team Big便」が一丸となって子供達とご家族をサポートします。入院をした子供達の方が、外来で治療導入した子供達よりもその後の外来での経過が良好です。

「便塞栓を疑う症状」
1.少量の硬いうんちが出ている。
2.肛門の周りやパンツにうんちが付着する。
3.うんちがなかなか出ないのに下痢便。
4.おしっこはトイレで出来るのに、うんちはいつまでたっても漏らしてしまう。
5.力んでいるが出ない。
6.最後の排便から1週間近く排便がない。
7.おなかの下の方に硬いものが触れる。

好酸球性消化管疾患/消化管アレルギー

 好酸球性胃腸障害は近年、消化器領域で成人/小児ともに注目されている疾患です。多くは食物アレルギーが関与した消化器症状です。以前は新生児期・乳児期以降の食物アレルギーによる慢性的な消化器症状は稀と考えられていました。しかし、原因不明の胃・十二指腸潰瘍、嘔気・嘔吐、下血・血便、下痢、腹痛などの中に、好酸球性胃腸障害/消化管アレルギーがかくれていることが分かってきました。
 内視鏡で肉眼的に異常がなくても、出来るだけ多くの部位から粘膜生検を行い(Step biopsy)、病理学的に好酸球増多が見られることで診断がつきます。したがって、この疾患を念頭において内視鏡検査を行わないと診断できないため、不定愁訴、心因性、機能性胃腸障害などと診断されている場合も少なくありません。私共は原因不明の消化器症状で内視鏡検査を行った場合には、必ずこの疾患を念頭においてStep biopsyを行います。
 遷延する原因不明の消化器症状を訴えるお子さんがいらっしゃいましたら是非、小児肝臓消化器科までご紹介下さい。

潰瘍性大腸炎/クローン病

 小児の潰瘍性大腸炎に対して、重症度に応じた治療をしており、初回寛解導入療法として透析室、腎臓内科とも連携し、白血球除去療法も行っています。また、難治例には生物学的製剤による治療も行っております。クローン病においてもカプセル内視鏡やダブルバルーン内視鏡を用いて、診断を行っております。
 長期に渡り付き合っていかなければならない疾患であり、学校生活や旅行、受験など子供達は病気と付き合う中で様々な悩みと向かい合っていきます。子供達が健全に学校生活や日常生活を送れるように医師、看護師、チャイルド・ライフ・スペシャリスト、保育士、管理栄養師、薬剤師、臨床心理士が入院生活から退院後の生活まで一貫してサポートして参ります。

その他の消化管疾患の診断と治療

 私たちは超音波検査など非侵襲的な検査を優先的に行っております。消化管造影、24時間食道インピーダンス/pHモニター、CT、MRI、消化器内視鏡検査を適切に選択し、診断をしています。
 また、機能性胃腸障害(過敏性腸症候群、機能性便秘症など)には、漢方薬を併用した薬物療法や臨床心理士によるカウンセリングも行っています。

2015年度 診療実績

外来 (延べ人数)

【肝臓】                          【消化管】

病名 件数 病名 件数
1 B型慢性肝炎 189 1 便秘症 1066
2 C型慢性肝炎 182 2 急性胃腸炎(細菌性・アレルギー性) 328
3 原発性硬化性胆管炎 115 3 潰瘍性大腸炎 260
4 B型肝炎ウイルス感染母体より出生した児 93 4 逆流性食道炎 155
5 脂肪肝 84 5 胃腸運動機能障害 97
6 自己免疫性肝炎 78 6 慢性胃炎 74
7 慢性肝炎 65 7 クローン病 62
8 ウイルソン病 60 8 過敏性腸症候群 51
9 シトリン欠損症 46 9 血便 33
10 胆汁うっ滞 34 10 血管性紫斑病 33
11 乳児肝炎 30 11 胃・十二指腸潰瘍 31
12 胆石症 30 12 難治性下痢 31
13 肝移植後 27 13 消化管ポリープ 16
14 先天性肝繊維症 24 14 慢性膵炎 16
15 劇症肝炎 24 15 肥厚性幽門狭窄症 16
16 糖原病 21 16 上腸間膜動脈症候群 13
17 体質性黄疸 20 17 腸重積症 11
18 家族性進行性肝内胆汁うっ滞症 20 18 ヒルシュスプルング病 10
19 脂質代謝異常 19 19 蛋白漏出性胃腸炎 10
20 Fontan術後 19 20 食道裂孔ヘルニア 10
21 肝機能異常 18 21 腹痛 9
22 B型肝炎予防 16 22 食道狭窄 8
23 アラジール症候群 15 23 腸間膜リンパ節炎 7
24 急性肝炎 12 24 急性膵炎 7
25 肝硬変症 11 25 急性虫垂炎 6
26 ウイルス肝炎 10 26 鎖肛 5
27 カルニチン欠乏症 9 27 十二指腸炎 5
28 ミトコンドリア病 9 28 胃軸捻転 5
29 肝腫大 8 29 異物誤飲 4
30 薬物性肝炎 8 30 体重増加不良 4
31 高インスリン高アンモニア血症症候群 7 31 急性胃粘膜病変 3
32 急性肝不全 6 32 吐血 2
33 ライソゾーム病 4
34 膠原病に伴う肝機能異常 4
35 A型肝炎 4
36 門脈圧亢進症 3
37 オルチニントランスカルバミラーゼ欠損症 3
38 総胆管拡張症 3
39 バッド・キアリ症候群 3
40 胆道閉鎖症 2
41 カロリー病 2
42 肝血管腫 2
43 良性肝内胆汁うっ滞症 2
44 血球貪食症候群 2
45 卵巣のう腫 2
46 心疾患に伴う肝障害 2
47 肝腫瘍 2
入院 (延べ人数)

【肝臓】                           【消化管】

病名 件数 病名 件数
1 原発性硬化性胆管炎 15 1 好酸球性胃腸炎 31
2 急性肝不全 8 2 潰瘍性大腸炎 29
3 自己免疫性肝炎 7 3 糞便性イレウス 27
4 急性胆管炎(再発性) 7 4 急性胃腸炎(細菌性・ウィルス性・アレルギー性) 23
5 慢性肝炎 6 5 便秘症 16
6 ニーマンピック病C型 6 6 消化管ポリープ 14
7 食道狭窄 6 7 逆流性食道炎 12
8 胆石症 5 8 腸重積症 8
9 C型慢性肝炎 4 9 シェーンライン・ヘノッホ紫斑病 8
10 胆汁うっ滞 4 10 消化管内異物 8
11 脂肪肝 4 11 高アミラーゼ血症 7
12 先天性肝繊維症 3 12 胃・十二指腸潰瘍 7
13 胆汁性肝硬変 3 13 クローン病 7
14 B型慢性肝炎 3 14 急性膵炎 7
15 シトリン欠損症 2 15 腹痛 6
16 食道静脈瘤 2 16 麻痺性イレウス 5
17 バイラー病 2 17 蛋白漏出性胃腸炎 4
18 うっ血性肝硬変 2 18 難治性下痢 3
19 肝限局性結節性過形成 2 19 血便 2
20 メタボリックシンドローム 2 20 ヒルシュスプルング病 2
21 膵炎 2
22 消化管出血 2
23 鎖肛 2
24 起立性調節障害 2
内視鏡実績
2012年度 2013年度 2014年度 2015年度
上部消化管内視鏡 109 134 130 141
下部消化管内視鏡 83 101 128 107
内視鏡的逆行性胆道造影 20 24 23 22
肝生検実績(小児科のみ) 52 57 50 51
小腸カプセル内視鏡 19 27 39 35
ダブルバルーン小腸内視鏡 9 11 22 17

研究実績

主な論文・著書・メディア掲載

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スタッフ紹介

小児肝臓消化器科部長
■乾あやの(いぬいあやの)
名古屋市立大1986年卒
専門分野
肝臓・感染症・代謝異常
特に専門としている分野
肝・胆道疾患の診断と治療、肝移植、代謝性肝疾患
学会専門医・認定医
日本小児科学会専門医
認定小児科指導医
日本肝臓学会専門医・指導医
小児栄養消化器肝臓学会認定医
インフェクションコントロールドクター
顧問
■藤澤知雄(ふじさわともお)
日本大1975年卒
専門分野
肝臓・代謝異常
特に専門としている分野
肝・胆道疾患、代謝異常の診断と治療
学会専門医・認定医
日本小児科学会専門医
日本肝臓学会専門医・指導医
小児栄養消化器肝臓学会認定医
副部長
■十河 剛(そごうつよし)
防衛医大1995年卒
専門分野
肝臓、消化器
特に専門としている分野
肝・胆道疾患の診断と治療、人工肝補助療法、消化器内視鏡、腹部画像診断
学会専門医・認定医
日本小児科学会専門医
日本肝臓学会専門医・指導医
日本消化管学会胃腸科専門医・指導医
日本消化器内視鏡学会認定消化器内視鏡専門医・指導医
小児栄養消化器肝臓学会認定医
医長
■梅津守一郎(うめつしゅういちろう)
琉球大2006年卒
専門分野
肝臓、消化器
特に専門としている分野
 
学会専門医・認定医
日本小児科学会専門医
日本消化管学会胃腸科専門医・指導医
医員
■増澤雷吾(ますざわらいご)
聖マリアンナ医科大2007年卒
専門分野
肝臓、消化器
特に専門としている分野
 
学会専門医・認定医
 
医員
■小林宗也(こばやしそうや)
愛知医大2011年卒
専門分野
肝臓、消化器
特に専門としている分野
 
学会専門医・認定医
 

 

 

 

済生会横浜市東部病院
〒230-8765 神奈川県横浜市鶴見区下末吉3-6-1
TEL:045-576-3000(代表)