呼吸器外科

ご挨拶

患者さまへ

呼吸器外科のホームページへ、ようこそお越し下さいました。
ご自身あるいはお身内の方が肺の手術を受けるにあたり、分からないこと、不安なことが多々あるかと思います。
皆様と一緒に治療を行っていくうえで、是非知っておいていただきたいことについてお話させていただきます.
当科は、2007年開院当初より呼吸器外科専門医が常勤し、現在は専属スタッフ2名で診療しています。

日本呼吸器外科学会の関連施設、日本呼吸器内視鏡学会の基幹施設として学会から認定されております。

皆様に最良の治療を受けて頂けるよう、私たちの持てるすべての技術と知識をもって診療に当たりますので、どうぞ安心して治療を受けてください。

なお、当科は慶應義塾大学病院の呼吸器外科の関連施設です。

 

患者様をご紹介くださる先生方へ

日頃より格別のご高配を頂戴し、心より御礼を申し上げます。

済生会横浜市東部病院が開院し今年で13年目になります。これまで、前呼吸器外科部長・現呼吸器センター長の青木輝浩先生と呼吸器内科の先生方とともに、横浜市東部地域の呼吸器疾患の急性期治療・がん治療診療体制を構築して参りました。これまで先生方には多くの患者様をご紹介いただき誠にありがとうございます。おかげさまで、当センターの腫瘍対象疾患である肺癌の診療件数は年々増えてきております。当院では呼吸器内科・呼吸器外科の2診療科がタッグを組み、呼吸器センターとして連携を密に診療を行っております。肺癌・縦隔腫瘍・気胸・膿胸などの手術対象疾患に関しましては、呼吸器センターカンファレンスで治療方針を決定した上で、外科治療を行なっております。また、総合病院の機能を生かし、循環器疾患や糖尿病、末期腎不全など併存疾患をお持ちの患者様にも対応できる万全の体制を整えております。

呼吸器センターでは、これまで以上の医療をご提供できるようチーム一丸となり診療を行い、先生方に安心して患者様をご紹介いただけるよう努めて参ります。

今後とも先生方の益々のご発展をお祈りしますとともに、変わらぬご厚誼賜りますよう何卒お願い申し上げます。

呼吸器外科について

呼吸器外科では胸の病気、肺の病気、気管支の病気、縦隔の病気に対して、専門的な診療を行っています。日本で最初の『済生会』である済生会神奈川県病院(当院の前身)で培ったノウハウを存分に生かしながら、従来の開胸手術に加えて胸腔鏡下手術(VATS)の普及に努め、令和3年4月時点で胸腔鏡下手術症例数が総計で3,000例を超えました。

令和2年8月より当院の強みであるロボット支援手術(da Vinci手術)を縦隔腫瘍手術,肺癌手術において開始しております。

呼吸器外科で診る病気

肺がん、転移性肺腫瘍、肺良性腫瘍、気胸、縦隔腫瘍、膿胸、胸膜炎 など

肺癌手術について

当院では,内科,放射線科,病理診断科と連携したチーム医療を行なっております。呼吸器内科と連携し,術前の気管支鏡検査や,術後の抗がん剤治療を行うことがあり、また放射線科と連携し,放射線治療(当院ではサイバーナイフ)を行なっております.

肺癌手術について

肺癌に対する標準手術は、腫瘍が含まれる肺葉を切除する肺葉切除という術式です。

一方近年、人間ドックなどの検診で発見される小型の肺がんが増加傾向であるため,肺葉切除よりも切除範囲を小さくした「区域切除」や「部分切除」の件数が増えてきています.
 当院では,区域切除においては手術中に腫瘍の悪性度や病変の広がり評価するための術中迅速病理診断を行なっており,手術前の想定よりも悪性度が高かった場合や、病変が広がっていた場合には、区域切除から肺葉切除に術式を変更することがあります.

肺の切除術式の大半を占める肺葉切除は、肺癌のできた部位や大きさ、リンパ節転移や胸壁浸潤の有無よって以下の3つの術式のいずれかを選択します。

①6から7センチメートルの小開胸+胸腔鏡併用下に行う胸腔鏡補助下手術(hybrid VATS)
②1から2センチメートルのポート孔3つまたは4つで行う完全胸腔鏡下手術
③1から2センチメートルのポート孔5つで行うロボット支援下手術(ダビンチ手術,2020年から開始)

術後在院期間は6日程度(中央値)です。

術式選択の際には、以下の優先度をもって術式を決めています.

①がんを切除することで「治す」
②外科手術後,できるだけ肺の「機能を温存する」
③手術の痛みが小さくなるよう外科治療は「低侵襲に」

術中の除痛を担当する麻酔科の先生と連携し、術後の痛みができる限り小さく済むよう努めております。

原発性肺がんに関して,さらに詳しくは,肺がんについて をご覧ください.(肺がん解説のページへ)

縦隔腫瘍について

縦隔とは

縦隔は、左右の肺に挟まれた空間で、心臓、大血管、気管気管支、食道、胸腺などの臓器が存在する場所を指します。

縦隔内に生じる腫瘍を、縦隔腫瘍と呼びます。

縦隔の上の方には神経やリンパ組織が、前の方には胸腺やリンパ節が、中の方には気管支や心膜が、後ろの方には神経や食道があります。

縦隔内に存在する様々な臓器から腫瘍が生じます。縦隔にある臓器から発生した腫瘍をまとめて縦隔腫瘍といいます。
性質もさまざまで、いろいろな病気を含んでいます。胸腺に腫瘍ができれば「胸腺腫」や「胸腺癌」、嚢胞ができれば「胸腺嚢胞」となります。

縦隔腫瘍は悪性のものと良性のものがあります。胸腺嚢胞、気管支嚢胞、心膜嚢胞などの嚢胞性病変は、良性疾患です。胸腺癌、胸腺カルチノイド、奇形腫以外の胚細胞性腫瘍、リンパ腫などが悪性腫瘍です。
最も頻度が高い縦隔腫瘍の胸腺腫は隣接臓器への浸潤を示すことがあり、中間悪性度腫瘍として扱われます。

縦隔腫瘍は約半数が無症状で、健診や他疾患の検査中に偶然発見されることも珍しくありません。
また、胸腺腫が疑われる方の約20-30%に重症筋無力症が合併することがあります。胸腺腫がない方でも胸腺摘出手術が症状を改善させることもあり、重症筋無力症の治療として胸腺摘出術を行うこともあります。

診断

CT、MRI、PET-CT検査は、腫瘍の正確な位置や性質、周囲臓器への浸潤の有無などを評価するために行います。

縦隔腫瘍は様々な臓器から発生しうる腫瘍のため、確定診断をつけるには腫瘍組織を顕微鏡で見る必要があります。診断のために組織を採取することを生検と言い、CTで透視しながら針で組織を採取する方法などがあります。生検をするのが難しい場所に腫瘍がある場合などは、診断と治療を兼ねて腫瘍を切除する手術が勧められます。

治療

縦隔腫瘍に対する手術は、胸部に小さい傷を作って内視鏡下に操作する胸腔鏡手術が多く行われています。
しかし、傷の位置や大きさは、腫瘍の場所やサイズ、周囲との関係で決まり、胸骨正中切開での開胸手術を行うこともあります。

気胸について

原因

気胸は何らかの原因によって肺から空気が漏れて、肺がしぼんでしまう病気です。

明らかな原因がなく起こる気胸を自然気胸といいます。自然気胸は20歳前後に多く、その次には60歳代によく起きます。
若い患者さんの特徴は、男性・長身・やせ型です。体質的に肺の表面を覆っている胸膜が弱いため発症すると考えられています。一方で高齢の患者さんの場合は喫煙者で栄養状態の良くない方に多く起きます。高齢の方は肺の状態が元来良くないために、治療に時間がかかったり、治療後に気胸が再発することも少なくありません。

女性特有の原因

女性の自然気胸では、月経周期に一致して気胸が起こる「月経随伴性気胸」という気胸もあります。子宮内膜が胸膜にでき、月経に合わせて気胸を起こす病気です。気胸の程度や再発の回数などにより、治療法を選択します。稀な病気の肺脈管筋腫症(LAM)に伴うものがあります。元の病気の治療も難しいため、気胸に対しては癒着療法などが行われることが多くなります。

症状

突然現れる胸の痛み、息苦しさ、咳などです。症状の強さは肺がしぼんでいる程度や、患者さんにより様々です。
線写真での肺のしぼみ具合により、気胸の程度を次のように分類します。
軽度気胸:肺尖部(肺の一番上の部分)が鎖骨の高さよりも上にある状態。
中等度気胸:肺尖部が鎖骨よりも低い状態。軽度と高度の中間程度。
高度気胸:肺が完全にしぼんでしまっている、あるいはそれに近い状態。
程度や症状により治療法を考えますが、軽度なものから徐々に進行し、
「緊張性気胸」という重症な状態になることがあります。このため一見大丈夫な方でも入院を勧められることがあります。

治療

気胸の治療はその重症度や経過により以下のような治療方法があります。
1. 安静にして様子を見る
2. 針で空気を抜く(脱気)
3. 胸にチューブを入れる(胸腔ドレーンの留置)
4. 手術
軽度の場合は、外来通院で経過観察することが可能です。中等度~高度の場合は、胸腔ドレナージが必要となります。
胸腔ドレナージとは、局所麻酔下に胸の中にドレーンという直径6~7mmの管を入れて、溜まった空気を体の外に出す治療です。しぼんだ肺を膨らませて、穴が自然にふさがるのを待ちます。しかし、空気漏れの原因となった部分に再び穴があくことも多く、再発率は30~50%といわれています。そこで、空気漏れがなかなか止まらない場合、自然気胸が2回以上再発している場合、また気胸の再発をなるべく避けたい場合には、手術を選択することになります。

手術について

気胸の手術では、全身麻酔下に気胸の原因となっている穴をふさぎます。穴のふさぎ方は、自動縫合器という機械で穴があいたブラをまるごと切除する方法をとることが多いですが、穴の周囲の肺組織を糸でしばってふさぐ方法もあります。近年はほとんどの手術を胸腔鏡下に行っていますが、原因となるブラの場所が分かりにくい場合には開胸手術に移行することもあります。再発の可能性が高いと考えられる場合には、肺の表面を補強するシートを貼るなどの予防処置を追加します。手術後は若い患者さんであれば2~3日で退院できます。

胸腔鏡下に自動縫合器を用いてブラを切除します。

診療実績

手術実績

肺がん、転移性肺腫瘍、縦隔腫瘍、気胸,その他の胸部疾患の外科治療を行っています。

2020年度の手術総数は174件でした。

手術待機期間について

当院の手術待機期間は1週間から2週間です。肺癌をはじめとした悪性腫瘍は診断後速やかに外科手術を行っています。

手術件数

 

 

放射線治療件数

2017年度 2018年度 2019年度 2020年度
サイバーナイフ治療 51 36 40 33

手術費用について

入院費用について
肺がん手術を受ける際の費用については下記のようになっています。

術式「肺葉切除」
平均的な入院日数:8日
医療費総額:1,691,700円
患者さんの自己負担額
• 3割負担の場合 507,600円
• 2割負担の場合 338,400円
• 1割負担の場合 169,200円

術式「部分切除(楔状切除)」
平均的な入院日数:7日
医療費総額:1,270,400円
患者さんの自己負担額
• 3割負担の場合 381,200円
• 2割負担の場合 254,100円
• 1割負担の場合 127,100円

気胸手術を受ける際の費用については下記のようになっています。

術式「肺嚢胞切除術(肺部分切除)」
平均的な入院日数:5日
医療費総額:1,270,400円
患者さんの自己負担額
• 3割負担の場合 381,200円
• 2割負担の場合 254,100円
• 1割負担の場合 127,100円

あくまでも一般的な金額であることにご注意ください。
上記の金額には食事代、差額ベッド代、パジャマ代等は含まれておりません。

当院の有料個室・有料ベッドについては入院のご案内(個室料金)をご覧ください。差額ベッド代は、健康保険の対象外ですので、患者さんの全額自己負担となります。
入院費の支払いについてをご覧ください。
自動精算機にて現金のほか、各種クレジットカードがご利用頂けます。
その他入院に関しては当院の「入院のご案内」をご覧ください。

お金に関する問い合わせの担当窓口
各種お問い合わせの窓口は下記のようになっております。
ご本人やご家族が、がんの治療を受けるうえでの不安や悩み、療養生活や仕事のことについて気軽に相談していただけるよう相談支援窓口を設置し、医療ソーシャルワーカーが課題解決のお手伝いをさせていただいております。

スタッフ紹介

院長補佐
呼吸器センター長
■青木輝浩
(あおきてるひろ)

浜松医科大1985年卒

専門分野

呼吸器外科

特に専門としている分野

肺癌、自然気胸、縦隔腫瘍、膿胸などに対する胸腔鏡下手術

学会専門医・認定医

呼吸器外科専門医
日本外科学会専門医・指導医
日本胸部外科学会認定医・指導医
日本呼吸器外科学会指導医・評議員
日本呼吸器内視鏡学会専門医・指導医
日本内視鏡外科学会評議員

呼吸器外科部長
■井上芳正(いのうえよしまさ)
慶應義塾大1996

専門分野

呼吸器外科

特に専門としている分野

肺癌、自然気胸、縦隔腫瘍、膿胸などに対する胸腔鏡下手術

学会専門医・認定医

呼吸器外科専門医
日本外科学会専門医・指導医
日本呼吸器外科学会評議員
日本呼吸器内視鏡学会専門医・指導医・評議員
日本内視鏡外科学会評議員
日本がん治療認定医機構認定医
厚生労働省開催指針準拠 緩和ケア研修会修了
臨床研修指導医
慶應義塾大学医学部講師(非常勤)

医長
■田中浩登(たなかひろと)
筑波大2011

専門分野

呼吸器外科

特に専門としている分野

肺癌、縦隔腫瘍

学会専門医・認定医

日本外科学会専門医
JATECプロバイダー
厚生労働省開催指針準拠 緩和ケア研修会修了