膵臓がん
当院での膵臓がん治療
私たちは「あきらめない治療」「低侵襲な治療」「個別治療」をモットーに膵癌治療に取り組んでいます。消化器外科、消化器内科、放射線科、化学療法センターでチームとなり、迅速に的確な治療方針を決めております。膵癌の唯一の根治的治療である手術治療を積極的に安全に行い、腹腔鏡にて根治性が得られる患者様に対しては腹腔鏡手術、手術治療が困難である場合には放射線治療や化学療法を行います。決してあきらめずに治療を行うと共に、患者さん一人一人に合った寄り添った医療を提供いたします。
膵臓がんとは?(原因・発生・進行等)
本人の膵臓がんによる死亡数は、肺がん、胃がん、大腸がんに次いで4番目に多く、高齢者に多いため高齢化社会の進行とともに非常に増加しています。リスク因子としては、慢性膵炎や糖尿病にかかっていること、血縁のある家族内に膵臓がんになった人がいること、肥満、喫煙などがあります。診断と治療の非常に難しいがんで、診断がついた段階で手術ができる患者さんは約30%に過ぎません。また切除できても術後の再発率が高く、術後の5年生存率は20-40%と不良です。以下の膵癌取り扱い規約に準じて治療方針を決めていきます。
(表1) 膵臓がん病期分類
日本膵臓学会 膵臓がん取り扱い規約(第7版)より抜粋
膵臓がん
膵臓がんの主な症状は、腹痛、背部痛、黄疸、食思不振、体重減少、糖尿病の急な悪化です。しかし、膵臓は内臓の中でも最も奥の方で、胃の背側にあるため、がんが発生しても症状が出にくく、早期発見が難しいがんの一つです。
診断方法
膵臓がん診断には腫瘍マーカーを含めた血液検査と腹部超音波(エコー)検査や腹部 CT 検査、MRI/MRCP検査などの画像診断検査が行われます。これらの画像検査で膵癌が疑われた場合には、さらに内視鏡的逆行性膵管造影(ERCP)による膵液・膵管擦過細胞診検査や、超音波内視鏡下穿刺吸引生検(EUS-FNA)などの病理検査を加えることもあります。これらの検査を組み合わせて、膵臓がんの進行度、転移がないかどうかや膵臓の近くの主要な血管との関係を調べます。精密検査の結果を踏まえて、患者さん一人一人に合った治療法を、切除できるかどうかにより決めていきます(表2)。
(日本膵臓学会 膵臓がん診療ガイドラインより抜粋 一部改変)
当院の手術症例と検査の数
当院における膵臓の手術症例数は年々増加しております(表4)。合併症も少なく、在院に数も短くなっております。
(表4)当院における膵臓手術症例数
内視鏡検査数
膵癌の診断には高度な内視鏡検査が必要になります。消化器内科を中心とした内視鏡センターにて施行される内視鏡的逆行性膵管造影(ERCP)や超音波内視鏡(EUS)についても、年々増加傾向にあり、県内トップクラスの症例数を有しております(表5)。
(表5)当院における胆膵内視鏡症例数
化学療法
膵癌治療は手術治療のみでの根治は困難です。そのため、術前術後補助化学療法、切除再発に対する化学療法が施行されます。近年では膵癌に対しても効果のある新規化学療法(FOFIRINOXやGEM+nab-PTX等)が開発され、当院でも積極的に使用しております。通院で化学療法を行う患者さんに安心・快適に治療を受けていただくための専用の治療室「化学療法センター」を設置しています。
診療実績
難易度が高い膵癌手術の治療は、日本肝胆膵外科学会が認定する高度技能専門医制度指定施設での専門医による治療が推奨されています。(リンク:日本肝胆膵外科学会)当院は専門施設に認定されており、専門医が治療にあたります。(表3)さらに当院で日本内視鏡外科学会の内視鏡技術認定医が内視鏡手術を施行します。(リンク:日本内視鏡外科学会)。
(表3)日本肝胆膵外科学会修練施設
担当科目