対象がん一覧

膀胱がん

当院での膀胱がん治療

膀胱がん治療の3つの柱である手術、薬物治療、放射線治療を組み合わせた、患者さんの状態に合う治療を提供しています。

膀胱全摘除術は、開腹手術だけでなくダビンチXiによる手術も行っています。また、術後回復能力強化プログラム(ERAS: early recovery after surgeryまたはERP: early recovery program)を取り入れています。膀胱全摘除術は体への負担が大きい手術ですが、ダビンチXiによる手術とERAS実施により術後早期の社会復帰を目標としています。

 

手術による治療 経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)

内視鏡を尿道から挿入して、膀胱の中の腫瘍を電気メスで切除する方法です。この手術により、膀胱がんの進行度を診断することができます。病気の状態によっては、正確な診断のためにこの手術をもう一度行う場合があります。

膀胱がんが膀胱の壁の深くまで進んでいない場合(膀胱の筋肉まで到達していない)はTURBTにより取り切れます。

膀胱全摘除術+尿路変更術

膀胱がんが膀胱の壁の深くまで(筋肉またはそれ以上深く)進んでいる場合の最も有効な治療は膀胱全摘除術です。

手術は、開腹手術・手術支援ロボット「ダビンチXi」を使用した手術、いずれも行っています。

膀胱を切除したあとは、尿の通り道を再建する必要があります。当院は、新膀胱・回腸導管・尿管皮膚瘻、いずれの方再建法も実施しています。

薬物による治療 膀胱内注入療法

膀胱がんは膀胱の中に再発しやすい特徴があります。

TURBTで取り切れた場合でも、膀胱内再発を予防するためにBCG(ウシ型弱毒結核菌)や抗がん剤を注入することがあります。通院での治療です。

化学療法(抗がん剤治療)、免疫チェックポイント阻害薬

転移がある場合、または膀胱全摘後に再発した場合に行う治療です。

膀胱全摘除術の治療効果を高める(再発率を減らす)ために、手術の前や後に抗がん剤治療を行う場合もあります。

国内外のガイドラインに沿った薬剤により治療を行っています。

放射線治療 膀胱全摘除術ほどの効果はありませんが、膀胱の摘出を望まない場合、高齢・全身の状態が悪い方などに行います。

膀胱がんとは?

膀胱がんは肺がんなどと同様に喫煙が関係しているがんです。女性よりも男性に多く発生します。

膀胱は尿を貯めるための袋状の臓器です。膀胱がんは袋の内側をおおっている尿路上皮という粘膜から発生するため、ほとんどの膀胱がんは尿路上皮がんという種類です。まれに、扁平上皮がん、腺がんの場合もあり、治療方法や治療後の経過が異なる場合があります。

がんの進行度も治療方法を決めるときに重要です。進行度は、経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)で採取されたがんの病理組織検査、CTやMRIなどの画像検査により診断できます。

症状

自覚症状で最も多いのは血尿です。痛みや他の症状を伴わない無症候性血尿のこともあります。血尿は自然におさまることがありますが、膀胱がんがあるかもしれません。排尿したときに尿が赤かったり、下着に血液がついたりしたときは、早めに受診してください。

また、頻尿や排尿時痛など膀胱炎と似た症状をおこす、上皮内がんというタイプの膀胱がんもあります。膀胱炎がなかなか治らない場合は上皮内がんの可能性もあるので、詳しい検査を受けるようにしましょう。

 

診断方法

膀胱鏡検査

尿道から内視鏡を挿入し、尿道・膀胱を観察します。がんの位置、大きさ、形状、数などがわかる最も確実な検査です。検査は外来で行います。

尿細胞診検査

コップで採取した尿の中にがん細胞が混じっていないかどうかをみる検査です。

超音波

下腹部に器具をあてて体の内部の様子を調べる検査で苦痛を伴わない検査です。り小さい膀胱がんは超音波で見えないこともあります。

CT・MRI・骨シンチグラフィ

リンパ節や他臓器への転移の有無、膀胱周辺へのがんの拡がりの様子などを診断することができます。

診療実績

2012年度 2013年度 2014年度 2015年度 2016年度
膀胱癌に対する膀胱全摘・代用膀胱

0

0

1

1

1

膀胱癌に対する膀胱全摘・回腸導管

4

5

10

7

9

膀胱癌に対する膀胱全摘・尿管皮膚瘻

1

1

2

1

1

経尿道的膀胱腫瘍切除術

101

107

132

129

157

 

治療期間のめやす

経尿道的膀胱腫瘍切除術
(TURBT)

4泊5日前後

膀胱全摘除術

手術の前日に入院します

手術翌日から経口摂取、歩行を開始します

十分な経口摂取、尿路変更後の排尿管理ができるようになれば退院です

手術の方法によりますが、最短で術後10日前後の退院が可能で、術後2〜3週間程度の退院を目標としています

 

担当科目

泌尿器科