当院初の頸動脈アプローチによるTAVIを施行しました
2025年01月31日ニュース
当院初の頸動脈アプローチによるTAVIを施行しました
2025年1月に、当院初となる頸動脈アプローチによるTAVIを行いました。
経カテーテル大動脈弁留置術(TAVI)は、大動脈弁狭窄症と呼ばれる弁膜症に対する治療法で、主にご高齢の方や体力の低下した方が対象となります。
近年は使用されるデバイスの進歩により、大半の患者様で最も体への負担が小さいとされる大腿動脈アプローチでの治療が可能となっています。
一方で、合併する疾患や全身の動脈硬化の程度などの理由で、大腿動脈アプローチが不可能、ないしは適さない患者様が一定数いらっしゃいます。
従来このような患者様に対しては鎖骨下動脈アプローチ、直接大動脈アプローチ、心尖部アプローチといった手法がとられていましたが、2024年4月より、Edwards社製SAPIEN 3 UltraResiliaでは新たに頸動脈アプローチが認可され、国内各施設で実施可能となりました。
頸動脈は首の部分にある太い動脈です。首の血管から心臓を治療するというのは少し不思議に感じられるかもしれませんし、なんだか怖いと感じられる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、頸動脈アプローチは大腿動脈アプローチに次ぐ第2の選択肢になりうる有効かつ安全な治療選択肢であることが報告されており、国内での実施件数も増加しています。
今回、当院初となる頸動脈アプローチによるTAVIを、弁膜症治療センタースタッフにより施行しました。
頸動脈アプローチによるTAVIは、直接手術に携わる循環器内科医と心臓血管外科医のみならず、麻酔科医、集中治療医、コメディカルスタッフを含めたハートチームの連携と練度が必要とされる治療です。
事前に入念なシミュレーションを行い、予定どおり手術を完遂し、患者様の術後経過も良好です。
東部病院弁膜症治療センターでは、今後も最新の治療を積極的に導入し、多くの治療選択肢をもつことでそれぞれの患者様に最適な治療法を追求して参ります。
文責:弁膜症治療センター 循環器内科 医長 山口航平