社会的適応による「未受精卵凍結」開始のお知らせ
2021年03月09日ニュース
社会的適応による「未受精卵凍結」開始のお知らせ
日本は世界で最も深刻な少子化問題を抱える国でありながら、世界最多の体外受精件数を誇る不妊治療大国です。また、国内の不妊治療技術は世界最高と言われながらも、その成績は決して芳しくなく、2021年の年間出生数はついに80万人を下回るとまで予測されています。その原因として女性の社会進出、晩婚化に伴う加齢による妊孕(にんよう)性低下が問題となってきています。
こうした社会課題の改善・解決の一助にと、当院では社会的適応による「未受精卵凍結」を実施することといたしました。
女性がご自身のキャリアやライフプランと向き合う上で有効な選択肢の1つとなるよう、デメリットも含めて正しい知識を直接十分にお伝えし、生殖医療専門医制度認定研修施設および生殖補助医療実施医療施設として最終的な妊娠・出産というゴールに向けて、分娩もサポートします。
社会的適応による未受精卵凍結とは
医療において、治療や検査などに正当性、妥当性があることを「適応がある」といいます。未受精卵凍結の適応は2つあります。
一つは医学的適応です。
残念ながら、がん治療として投与された抗がん剤は卵巣にダメージを与えてしまいます。がん治療によって妊孕性を低下させる前に卵子を体外に取り出し、冷凍保存することによって妊孕性を温存します。
がんが完治して妊娠を望むときに、凍結保存しておいた卵子を融解します。顕微授精を施行し、胚(受精卵)を作成して胚移植することにより妊娠が可能になります。未受精卵凍結はもともとはこのような「医学的適応」のもつ意義から行われてきました。
もう一つが、この度当院で実施する社会的適応未受精卵凍結です。
・いまは仕事を優先したい状況にある
・介護などで、今すぐの妊娠/出産が難しい
・パートナーがいても今すぐ結婚することを考えていない
主に上記のような事情がある未婚の方を対象に、妊娠したい時期に使用する目的で卵子を凍結保存します。
妊孕性が高いうちに、将来に備えて未受精卵子を凍結しておくというのが、社会的適応という考え方です。 本治療は将来の挙児を必ずしも保障するものではありませんが、加齢に伴い妊孕性が低下するのは確実で、これによる不妊治療が増えています。キャリアを優先するか、結婚・妊娠を優先するかは女性にとって大きな問題です。そういった人生の選択に際し、ひとつのオプションとして存在します。今のご自身のキャリアに前向きに取り組めるサポートが出来ればと考えています。
卵子凍結までのながれ
1.排卵誘発
効率よく卵子を採取するために内服薬や注射などを使用して卵巣を刺激し、複数の卵子を育てます。
2.採卵手術
卵巣に針を刺して卵子を採取します(日帰り手術のようなものです)。
3.凍結保存
現在広く体外受精における胚凍結で行われているガラス化法で凍結保存します。
卵子凍結は長期にわたる保管が必要となることがあります。当院では閉院に伴うトラブルはありませんので安心して保存が出来ます。
費用について
未受精卵凍結を含め人工授精や体外受精は保険適用外の治療法とされています。また原則的にはそれらを目的として行う検査や処置、投薬にも保険は適用できません。当院では下記のように自費診療料金を設定しております(別途消費税がかかります)。
採卵 | ¥100,000 |
---|---|
凍結料金 (5個まで/年間保管料込) | ¥60,000 |
凍結料金 (6個以上/年間保管料込) | ¥100,000 |
凍結更新料 | 卵子1個につき年間¥5,000 |
ご受診方法
祝日をのぞく月曜または木曜の8:30〜11:00に「総合受付」へお越しになり当日ご受診いただくか、WEBまたはお電話で、月曜は14:30、木曜は14:00と14:30の予約時間に限定してご予約を承ることも可能です。
なお、紹介状をお持ちでない場合、初診時選定療養費 (7,700円)がかかります。
WEB予約 こちらから予約をお取りください。 |
電話予約 |
当院の「生殖医療」全般、FAQなどをこちらのページで詳しくご紹介しております。 |