脳神経内科の伊達悠岳医師が「寺岡賞」を受賞しました
2026年04月30日ニュース
脳神経内科の伊達悠岳医師が「寺岡賞」を受賞しました
脳神経内科の伊達悠岳医師が、認知症に関する優れた臨床研究を顕彰する「2025年度寺岡賞」(公益財団法人日本脳神経財団)を受賞しました。
認知症の臨床分野における優れた研究論文1篇が対象となり、伊達医師による以下の論文が選ばれました。
論文名:Can the clinical sign “head-turning sign” and simple questions in “Neucop-Q” predict amyloid β & pathology? (Alzheimer’s Research & Therapy (2024) 16.250)
■伊達医師による解説
伊達医師は慶應義塾大学医学部神経内科在勤(当院非常勤勤務)時代の2020年に、3つの簡単な問診に対する反応からアルツハイマー病患者さんをスクリーニングするツール、Neucop-Qを発表した。この時点ではアミロイドPET画像検査を使用しない従来型の診断基準をもとにNeucop-Qのアルツハイマー病診断制度を検証していたが、当院常勤勤務開始後の2024年に慶應義塾大学医学部神経内科との研究により、新たにアミロイドPET、タウPET(保険未収載)といった最新の画像検査を使用して高精度で診断したアルツハイマー病患者さんを対象として、従来よりアルツハイマー病らしさを呈する所見として臨床医の間で知られている振り返り徴候や、2020年に伊達医師が発表したNeucop-Qが有効なスクリーニングツールになることを示し、また同時に現在研究が進んでいる他のバイオマーカー検査やアミロイドPETで見えるアミロイドβタンパクの蓄積量とも相関関係があることを示した。
この研究は、アルツハイマー病に対する抗体薬治療が登場し、いかに簡易で安価な方法で社会的コストを最小限にして適応となる患者さんを限られた投与可能施設に紹介すべくスクリーニングできるか?という社会的ニーズに呼応するものであり、アルツハイマー病の高額な最新治療を最小限のコストで社会に届けるための一助となるものであり、大きなインパクトを有するものである。
■伊達医師のコメント
この度は日本脳神経財団寺岡賞を受賞し、誠に光栄に存じます。初期のアルツハイマー病に対し2023年より上市された最新治療であるアミロイドβ抗体薬は、異常タンパクの蓄積によって神経細胞が脱落を起こしていく神経変性疾患と呼ばれる一群の疾患群に対する薬剤で初めてその疾患進行を抑制できたという画期的な薬剤であり、これはたとえば抗菌薬やステロイド、抗がん剤といった薬剤と同様に医学史に残る人類の大きな爪痕であると認識しております。しかし一方でアミロイドβ抗体薬はそれ自体が高額な薬剤であるとともに、現状投与判断のために行われるPET検査も同様に患者さんにもご負担のかかる検査となっております。さらには投与開始できる施設も非常に限られており、投与適応となる患者さんをいかに社会的コストをかけずに治療にご案内するかといったニーズがあります。こうした背景の中で高額なバイオマーカーに頼らずに日頃の診療の中での経験則に基づくサインから患者さんの診断を予測できるという今回の研究はまさに目に見える患者さんの所見と120年前から知られていた脳の病理像を繋ぐものであり、今回の受賞でその意義を認めていただけたのであれば存外の喜びです。これを糧に明日からも日々の臨床に邁進して参ろうと思います。今後とも御指導、御鞭撻のほど何卒宜しくお願い申し上げます。
伊達 悠岳
