Evolut弁で頸動脈アプローチが可能となりました
2025年10月15日ニュース
Evolut弁で頸動脈アプローチが可能となりました
経カテーテル大動脈弁留置術(TAVI)は、大動脈弁狭窄症と呼ばれる弁膜症に対する治療法で、主にご高齢の方や体力の低下した方が対象となります。
近年は使用されるデバイスの進歩により、大半の患者さんで最も体への負担が小さいとされる大腿動脈アプローチでの治療が可能となっています。
一方で、合併する疾患や全身の動脈硬化の程度などの理由で、大腿動脈アプローチが不可能、ないしは適さない患者さんが一定数いらっしゃいます。
従来このような患者さんに対しては鎖骨下動脈アプローチ、直接大動脈アプローチ、心尖部アプローチといった手法がとられていましたが、2024年4月より、Edwards社製SAPIEN 3 UltraResiliaで新たに頸動脈アプローチが認可され、当院でも2025年1月より実際の手術を開始しております。
今回Medtronic社製Evolut弁でも新たにこの頸動脈アプローチの適応が追加され、当院でも実施可能な状態となりました。

頸動脈は首の部分にある太い動脈です。首の血管から心臓を治療するというのは少し不思議に感じられるかもしれませんし、なんだか怖いと感じられる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、頸動脈アプローチは大腿動脈アプローチに次ぐ第2の選択肢になりうる有効かつ安全な治療選択肢であることが報告されており、当院でも実際に症例を重ね、その安全性と有効性を実感しております。
東部病院弁膜症治療センターでは、今後も最新の治療を積極的に導入し、多くの治療選択肢をもつことでそれぞれの患者さんに最適な治療法を追求して参ります。
文責:弁膜症治療センター 循環器内科 医長 山口航平