乳がんで失った胸を綺麗に取り戻す〜東部病院の乳房再建手術〜

2019年03月26日ニュース

乳がんで失った胸を綺麗に取り戻す〜東部病院の乳房再建手術〜

乳がんの手術によって、胸のふくらみを失うことがあります。

「乳房再建術」とは、乳がんの手術で失ったり、変形したりした乳房を新しく作り直すもう1つの手術です。

東部病院では、乳腺外科医が乳がんの手術を行った後、形成外科医(マスダクリニック:院長 増田竜児)ができるだけ傷跡を綺麗に、目立たなくすることを念頭に置いて乳房再建手術を担当します。

乳房再建の方法は、手術を行うタイミングによって、乳がん手術と同時に行う「一次再建」と、乳がん手術後に一定の期間をおいて行う「二次再建」に分けられます。
手術の回数は、1回の手術で再建を完了する「一期再建」と、最初にティッシュ・エキスパンダー(皮膚拡張器)を挿入し、胸の皮膚を伸展させた後に再建を完成させる「二期再建」の2種類があります。
当院は日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会の認定施設であり、
健康保険の適用下でアラガン社製のエキスパンダーによる一次二期再建とインプラントによる一次一期再建を受けていただけます。

乳房再建を行うタイミング

乳がん手術と同時に行う【一次再建】

一次一期再建 乳がん切除と同時にシリコンインプラントを挿入し、1回の手術で完成
一次二期再建 乳がん切除と同時に組織拡張器(TE:ティッシュエキスパンダー)を入れ、後日TEを連携先のマスダクリニックでシリコンインプラントに入れ換えて完成
長所 ・乳房の喪失感がない
・入院期間が短い
・一次二期再建では、エキスパンダー挿入中に再建方法を熟考する時間がある
短所 一次一期再建では、再建方法を熟考する時間がない

乳がん手術後に一定期間をおいてから行う【二次再建】※当院では実施していません

二次一期再建 乳がん切除術の後日、1回の手術で再建完成
二次二期再建 乳がん切除術の後日、TEを入れ、後日TEをインプラントや自家組織に入れ換えて完成
長所 ・乳がんの治療に専念できる 
・情報収集と再建方法を熟考する時間がある
・乳がん手術と別の施設で再建を行うこともできる
短所 ・手術の回数が多い(少なくとも2回)
・入院手術費用が増える

 

乳房再建の手術の方法

手術は大きく分けて、自分のからだの組織を移植する自家組織再建と、シリコンなどでできた人工物を挿入するインプラント再建があります。

自家組織再建

腹部または背部からの脂肪組織を乳房に移植する方法です。人工物を使用したくない方、腹部皮弁を使用する場合は乳房の比較的大きい方、背部皮弁の場合は乳房が比較的大きくない方に適しています。当方法は当院では実施しておりません。

インプラント再建

シリコン製の人工乳房(インプラント)を入れる方法で、胸の皮膚と筋肉を伸展するティッシュ・エキスパンダーと併用するのが一般的です。人工物のため、やや硬く温かみには欠けますが、からだへの負担が少なく、手術時間、入院期間も短くてすみます。再建部位に放射線治療歴がある方や術後治療の可能性が高い方には不向きです。

 

乳がん治療の基本的な流れ

フローチャート

注)温存手術後の再建について保険適用となるのは、がんの取り残しやリンパ節転移、再発が発見された場合などに限ります。 ※このフローチャートは乳がん治療の基本的な流れを示したものです。患者さんによっては、術前/術後療法などが追加される場合があります。

乳房再建術には健康保険が適用され
高額療養費制度も利用できます

2013年7月にインプラントを使用する一部の乳房再建術が保険適用になり、患者さんの費用負担のハードルが下がりました。下記は当院で乳房切除術(腋窩部郭清を伴わないもの)とインプラントを用いた再建手術を行った場合の費用目安です。

70歳以上の方

対象者 医療費負担額 高額療養費制度 実際の窓口負担額
現役並み所得者 課税所得690万円以上 約240,000円 → 約240,000円
(高額療養費制度対象外)
課税所得380万円以上 約170,000円
課税所得145万円以上 約86,000円
一般 課税所得145万円以下 2割負担
約160,000円

1割負担
約80,000円
→ 57,600円
低所得者 住民税非課税(低所得Ⅱ) 24,600円
住民税非課税(低所得Ⅰ) 15,000円

 

70歳未満の方

対象者 医療費負担額 高額療養費制度 実際の窓口負担額
年収約1,160万円以上 約240,000円 → 約240,000円
(高額療養費制度対象外)
年収約770万円~1,160万円 約170,000円
年収約370万円~770万円 約86,000円
年収約370万円以下 57,600円
住民税非課税 35,400円

※1 低所得者Ⅱ

世帯員全員が①市町村民税非課税者、又は②生活保護法の要介護者であって、
自己負担限度額・食事標準負担額の減額により保護が必要でなくなる者

※2 低所得者Ⅰ

世帯員全員が「低所得者Ⅱ」に該当し、さらにその世帯所得が一定基準以下

西谷医長からのメッセージ

西谷 慎

乳腺外科医長
西谷 慎(SHIN NISHIYA)

乳癌の手術は乳房の喪失や変形といった身体の変化を来し、患者さんの生活の質に影響を及ぼします。癌を完全に治すことは当然ですが、近年は乳房の整容性維持にも高い関心が寄せられています。

外見の変化に対する患者さんの苦痛の本質は、自分らしさや女性性といった自己イメージに関連する心理的苦痛、他者との関わりの中で生じる相対的な苦痛です。この外見変化がもたらす苦痛や不安に対するケアとして乳房再建や補整具の使用が広まってきました。乳癌手術に伴う乳房変化の受容には、術前からの関わりが重要とされています。個々の患者さんのニーズを把握し、再建を行わないという選択肢も含め、適切な術式を提案していくことが重要だと考えております。

マスダクリニック形成外科:増田ドクターからのメッセージ

増田 竜児

マスダクリニック
形成外科・皮フ科
増田 竜児(RYUJI MASUDA)

マスダクリニック形成外科・皮フ科の増田と申します。2014年より横浜市港北区にて日帰り手術を行うクリニックを開業しております。開業前より乳房再建に携わっており、開業後も乳がん患者様のお力になれるべく再建手術を行ってまいりました

この度、済生会横浜市東部病院さまとの連携医療機関として登録させていただき、乳房再建を担当させていただくこととなりました。

乳房再建術とは、がん治療によって失われた乳房を取り戻す形成外科手術です。乳房の喪失によりつらい思いをされる患者様に乳房再建を受けていただくことで、乳房とともに健やかな人生を取り戻していただけることが形成外科医の喜びです。

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