診療看護師

1.特定行為とは?

診療の補助であり、看護師が手順書により行う場合には、実践的な理解力、思考力及び判断力かつ専門的な知識及び技能が特に必要とされる38行為です。
従来の「診療の補助」の範囲を変更するものではありません。これまで通り、看護師は医師・歯科医師の指示で特定行為に相当する診療の補助を行うことができます。

診療看護師(Nurse Practitioner:NP)
看護師として5年以上の実務経験を有し、かつ大学院修士課程を修了してNP資格認定試験に合格する必要があります。大学院在籍中、特定行為を行うために必要な研修を修了します。
患者のQOL向上のために医師や多職種と連携・協働し、倫理的かつ科学的根拠に基づき一定レベルの診療を行うことができる看護師を指します。

領域特定看護師
特定行為を行うために必要な研修を修了した看護師を指します。受講した区分の特定行為が実施できます。

 

 

2.管理者からの挨拶

診療看護師室責任者 高橋宏行 室長(集中治療科部長)より
 診療看護師は、救急疾患からcommon diseaseに至るまで豊富な症例を指導医の下でジェネラリストとしてプライマリケアをしっかり身に着け、チーム医療の要として多職種と連携、協働を図り、常に患者に寄り添いQOL向上のためにタイムリーに適切な全身管理をしています。そして、当院では診療看護師の全人的アプローチを更に高めるために院内急変対応システムのメンバーとして、早期警戒スコアの高リスク患者の対応をしています。同時にスペシャリストとして、がん、心臓血管疾患、脳血管疾患に高度急性期病院の強みである“一歩先の医療”を実践できる力をサブスペシャリティーで研修することが出来ます。
 是非、私たちと一緒に東部病院であらゆる医療に携われる診療看護師を目指しませんか?

看護部長 渡邊輝子 副室長より
 東部病院は、横浜市の急性期医療を担う地域中核病院としての医療を提供しています。患者さんが疾患をもちながらも地域で生活しやすくしていくために、多職種がそれぞれの専門性を活かしてチームになり活躍しています。その中でも診療看護師は、医師と看護師、コメディカルをつなぐキーパーソンとして、組織を横断的に活動し多方面から患者さんへアプローチしケアを行っています。
 大学院で学んだ医学を駆使しながら、幅広い視点から患者さんの病態を予測し、医師がその場にいない時でもタイムリーに患者さんに対応してくれています。ぜひ、東部病院で医師からも他職種からも頼りにされる診療看護師として、一緒に学び楽しく実践しましょう。

 

 

3.当院でのNPの働き方

■循環器内科NP
<出向先>
月水金曜日は東部病院(循環器内科 形成外科)
<活動内容>
・東部病院では包括的高度慢性下肢虚血患者の創傷管理が主な業務。8階東西患者の依頼のあった患者の栄養調整、気管切開チューブや胃管などのチューブ交換、末梢確保困難患者のエコー下ルート確保、急変時対応などの病棟相談対応。
・神奈川県病院では主に消化器外科の手術助手と、院内のPICC挿入を一括して担当。その他東部病院と同様に病棟相談対応。
・上記活動に関連した創傷管理、輸液管理、中心静脈カテーテルの管理、特定行為研修の縫合手技の講師担当

<1日のスケジュール>
月曜日:東部病院
08:00 下肢潰瘍患者や介入している患者の一人回診と夜勤スタッフからの相談対応
09:00 午後のフットケア外来患者の情報収集と準備 病棟からの相談対応
14:00 フットケア外来で創処置
17:00 外来終了 帰宅

水曜日と金曜日:東部病院
08:00 下肢潰瘍患者や介入している患者の一人回診と夜勤スタッフからの相談対応
09:00 RRT、NP当番、病棟相談対応、臨時の足趾切断や植皮術助手
17:00 帰宅


■小児肝臓消化器科NP
<出向先>小児肝臓消化器科/重心小児科フォロー
<週間スケジュール>

※緊急入院患者の初期対応(問診、身体診察、検査、治療など)
※週1回小児科救急外来初療当直担当

<活動内容>
 小児NPとして働いております大石直之と申します。大学院修了後1年間の卒後研修を終了し、現在は小児肝臓消化器科に所属し勤務しております。当院は小児内科に関するほぼすべての領域に対応しており、数多くの症例を経験することができます。その中でも肝臓消化器を専門としている施設は非常に少なく、全国から当院に紹介受診する患者さんが多くいます。小児肝臓消化器科に所属する小児NPの役割は数多くあり、特定行為や各種検査の鎮静管理、エコーなどを行うことで患者にタイムリーな援助を可能としております。また家族への介入も行っており、診療の補助のみでなく、小児看護も一緒に行うことが小児NPに求められる働きだと思っております。日本の小児NPは非常に少なく認知度も低い現状はありますが、成人と同様に今後の日本の医療を支えるキーパーソンになれると感じております。当院で未来あるこどもたちのために一緒に働ける仲間をお待ちしております。


■腎臓内科NP
<出向先>腎臓内科
<週間スケジュール>




HD:血液透析 PD:腹膜透析 CF:カンファレンス ※不定期


<活動内容>
腎臓内科では、急性/慢性・二次性腎疾患に対する治療・ケアは勿論のこと、そのほか総合内科から入院となる患者に対応しています。医師は、透析番と病棟番を兼務しているため、NPはその時々の状況に応じて医師の包括的・直接的指示の下、治療介入に遅れが生じないよう病棟や透析室での患者対応を行っています。
 また、CKDの早期から腎代替療法が必要となる末期腎不全まで、シームレスに支援できるよう外来/病棟/透析センターの看護師と協働しています。腎代替療法については、多くの患者が透析導入やその経路など治療方針の選択に悩みます。共同意思決定(Shared Decision Making:SDM)という言葉がありますが、患者が自らの意思を医師へ伝えることは決して簡単ではありません。そのような時は、NPがお話を伺い看護と医学の視点から治療の手助けとなるようサポートさせていただいています。患者から得た情報は、多職種で共有し一貫した医療の提供を行いつつ、患者の個別性に合わせたケアが行えるようチームで介入しています。
 最後に、腎臓内科での業務から少し話が反れますが、当院での卒後ローテート研修終了後、整形外科へ出向していた時期があります。術後のドレーン抜去や創部の評価、外来や手術で病棟不在となる医師に代わり病棟看護師の相談役、内科的診療のサポートを行っていました。周術期や緊急入院患者の全身状態を評価し、必要時は院内急変チームへ情報共有を行い、患者の急変リスクの低減に努めていました。その時の経験は、現診療科での腹膜透析導入時の創部管理や、総合内科入院患者の創傷管理、緊急入院患者の急変リスクマネジメントに活かすことができています。
当院では、多様な働き方ができます。その詳細や行える特定行為は、見学にいらした際にぜひお尋ねください。


■集中治療科NP
<出向先>集中治療科/看護師特定行為研修室
<1日のスケジュールまたは週間スケジュール>
集中治療科:平日の午前中、土日祝日のいずれかの日勤
      (週休2日制のシフト勤務)
それ以外は臨床とのバランスをとりながら看護師特定行為研修室業務






<活動内容>
 診療看護師(NP)の認定資格を取得し、済生会横浜市東部病院に就職しました。入職時より看護師特定行為研修室に所属しながらNP卒後研修を終え、集中治療科・整形外科・泌尿器科等に所属し「一歩先の医療」を推進してきました。現在は集中治療科所属、看護師特定行為研修室の研修責任者、主任として従事しています。集中治療科では、医師とともにICU入室となった患者さんの初期対応や輸液/栄養調整、疼痛/PONV/排便コントロール等についてプロトコルを用いて実践しています。また、RRTで報告を受けた患者さんのMETを行うこともあります。他のNPと異なり教育と臨床の2足の草鞋となっていますが、日々看護師教育のやりがいを実感し、地域の看護の質向上のため東部病院オリジナルであふれる研修室を目指して取り組んでいます。東部病院ではNPのニーズは多く、型にはまらない多様な働き方を叶えられる環境だと思います。


■心臓血管外科NP
<出向先>心臓血管外科
<週間スケジュール>






<活動内容>
 大学院卒業後、1年間のローテーションを経て、現在は心臓血管外科に出向しています。 業務としては、病棟管理・外来補助業務・手術補助業務があります。 病棟業務は、治療方針に沿った診療補助を行い、タイムリーな症状マネジメントと早期退院に寄与できるように、主治医と適宜コミュニケーションを取りながら業務を行っています。 外来業務は定期受診の方の対応もしますが、主に術前の患者さんの医療面接、スケジュール調整などを行っています。 手術補助業務は、いわゆるPA(physician assistant)的な働き方をしており、主に第2助手として人工心肺の回路の管理や、グラフト採取などを行っています。緊急手術の際は助手の先生が到着するまでのつなぎ役も行い、夜間のon callにも対応します。


■脳神経外科NP
<出向先>脳神経外科
<週間スケジュール>



※緊急手術時、医師の手が不足した場合に助手及び機械出し
※RRT当番月1回担当
※週1回NSTカンファレンス、退院カンファレンスに参加


<1日のスケジュール>
8:30 脳神経内科・脳神経外科合同カンファレンス
8:40‐9:00  脳神経外科朝回診、必要な検査や手技等について医師からの指示受け
9:30‐12:00  血管内治療 プレパレーション及び手術補助
12:00‐13:00 休憩
13:00‐  病棟番(処置、オーダー等)、カルテ日々録記載、SWとセラピストとの退院に向けての調整
15:00‐15:30 退院カンファレンスに参加(NSとSWとセラピストと方向性の確認)
-17:00  病棟番(処置、オーダー等)、カルテ日々録記載
17:00  脳神経外科夕回診
17:10  リーダーNSに処方及び注射や検査等漏れがないか確認し業務終了

<活動内容>
 当院はPSCコア施設、また重症外傷センターを持つため多発外傷に伴う脳神経外科手術が多い状況です。診療科の患者さんは、常時15~25名程度を対象として、NPは身体診察をもとに必要な検査や処置、治療等について介入しています。スタッフ医師5名(うち専攻医1名)で定時及び緊急手術、外来業務等を行い時間外労働も多く、その中でNPは医師の専門性が発揮される手術や外来のパフォーマンスが保たれるように病棟業務や手術補助等の役割を担っています。2023年度の手術件数は433件(うち血管内手術118件)です。



 

 

4.卒後研修の実際

2025年度 3名のNPが卒後ローテート研修中
<研修スケジュール例>

■2024年度 卒後臨床研修修了生
<研修スケジュール>





私は2024年に診療看護師の資格を取得後、同年4月から診療看護師として従事しています。当院では、卒後研修として最低1年間の研修期間を設けています。研修期間の中で、診療看護師に必要なコンピテンシーに係る実践が出来るよう、知識の習得・技術向上・医師やコメディカルとの協働などを中心に学んでいます。1年間の研修修了後、次年度から診療科専任となる予定です。 私は診療看護師になる前に看護師として当院で働いていましたので、新たな施設で従事する方と比較すると電子カルテなどシステム上のトラブルは少なく、以前から関わりのあるスタッフも多く居ますので、その点ではより良い学びが出来る職場であると感じています。一方で、大学院で学んだ知識量が多く、技術がいかに優秀でもその能力を発揮できる場がなければ診療看護師としての能力を十二分に発揮できません。ですので、診療看護師にはコミュニケーション力は必須の能力であり、驕らずに看護師、診療看護師の立場としてスタッフとのコミュニケーションを積極的に取り、自身の存在をアピールすることがまず先決であると考えています。今後も診療看護師として当院にとって必要な能力を高め、チーム医療の一端を担うことができるよう日々全力で取り組んでいます。

 

 

5.NPの活動

RRT
特定行為研修室講師
院内看護師研修講師
院内PHS番で出向先以外の診療科への診療補助
総合内科支援チーム
研究・業績発表(準備中)

 

 

6.見学希望

●見学希望・入職希望
日程:平日随時。 見学のお申込みフォームはこちら
場所:済生会横浜市東部病院内
対象:診療看護師取得見込み者、診療看護師取得者

●入職希望
当院は、事前見学を必須といたします。見学の上で、お申込み下さい。
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