はじめに
消化器内科後期研修プログラムでは、3年間で内科臨床全般の幅広い研修と消化器専門医に求められる専門的知識と確実な技量の取得とを目標とする。研修期間中は「内科」のメンバーとして救急部、他の各内科系診療科と連携し、一方で、「消化器センター」のメンバーとして外科、放射線科等と連携してチーム医療にあたることにより、バランスのとれた、社会のニーズに応えうる、どこででも活躍できる消化器内科医としての基礎を固めることができる。
1.研修目標
A)一般目標
内科医としての知識、考え方および診療技術を取得し、その上に立脚した消化器専門医としての知識や技能を上部・下部消化管疾患、肝・胆・膵疾患全般に亘り幅広く修得する。消化器系のX線、CT、MRI等の画像診断の読影、内視鏡検査、超音波検査、血管造影等の手技を確実に修得し、さらにそれらを用いた治療手技を研修する。
3年間の後期研修修了の時点では日本内科学会認定医を取得していることが前提となり、日本消化器病学会専門医、日本肝臓学会専門医、日本消化器内視鏡学会専門医の受験に必要な研修を完遂する。
B)後期研修3年間の目標と研修内容
1)1年目(卒後3年目)
原則として消化器内科に所属するが、年間を通じ総合内科外来を週1回(半日)、救命救急センター内科系当番を週2回(半日)担当する。この1年間で日本内科学会認定医申請に必要な各分野の症例を全て担当医として経験する。このために、1年目においては消化器内科の他にも救急部(内科系)、糖尿病内分泌内科、循環器内科、呼吸器内科、脳血管・神経内科、集中治療科の各科を選択ローテートすることが可能になっている。ローテートの診療科数や期間はそれぞれの後期研修医の希望に応ずる形で決定する。
消化器内科においては、入院患者の主治医として診療に当る一方、上部内視鏡検査、超音波検査の実技研修を開始し、1年間で検査手技を修得する。また腹部救急疾患における超音波検査、CT検査の重要性を理解し精通する。消化管出血などに対する緊急内視鏡治療にはオンコール番で助手として参加する。
消化器内科カンファレンス及び消化器センターカンファレンス(外科、放射線診断部・治療部と合同)に毎週出席しケースプレゼンテーションを行なう。毎月開かれる内視鏡センターカンファレンス、消化器癌化学療法カンファレンス、地域医師会との消化器勉強会に出席する。
おもに内科学会関東地方会および消化器病学会関東支部例会で症例報告をする。報告した症例は論文を作成する。
2)2年目(卒後4年目)
消化器内科に所属し、年間を通し消化器内科と外科とにより構成される消化器センター病棟で上部・下部消化管疾患、肝・胆・膵疾患の診療にあたる。
上部消化管内視鏡、超音波を用いた治療手技を習得する。腹部のCT、MRIの読影、下部消化管内視鏡、膵胆道系内視鏡検査(ERCP)、腹部血管造影、肝生検(肝臓病理)などの研修を開始する。消化管出血などに対する緊急内視鏡治療にはオンコール番で指導医とともに参加する。
年間を通じ総合内科外来を週1回(半日)担当する。
カンファレンスは1年目と同様。
おもに消化器病学会関東支部例会、肝臓学会東部会、消化器内視鏡学会関東地方会で症例報告する。報告した症例は論文を作成する。
内科学会認定医を申請し受験する。
3)3年目(卒後5年目)
消化器内科に所属し、チーフレジデントとして消化器センター病棟の入院患者の診療に当る。また、週1~2回(半日)の消化器外来を担当する。
主要な消化器疾患は全て経験しその診断・治療に精通する。内視鏡、超音波、血管造影、肝生検などの手技を確実なものとする。消化器病学会専門医取得に充分な知識と技量を修得する。
カンファレンスは1年目と同様。
おもに消化器病学会関東支部例会、肝臓学会東部会、消化器内視鏡学会関東地方会で症例報告する。報告した症例は論文を作成する。
症例のまとめ、治療成績のまとめなどの臨床研究を行ない、消化器病学会総会・大会、肝臓学会総会・東部会、消化器内視鏡学会総会などで発表できるようにする。
なお、3年間を通し当直は月3~4回程度で、救急部及び各内科の上級医とともに「内科系救急当直」として、救急センターでの内科系救急患者の診療に当る。
2.研修修了後のコース
- 当院消化器内科医員(選抜あり)
- 当院総合内科医員(選抜あり)
- 東邦大学医療センター大森病院消化器内科または他の済生会病院への推薦が可能。
- 希望者には、消化器内科医員として当院勤務しながら東邦大学医学部夜間大学院への進学が可能(学位取得可)
- 他大学・医療機関への推薦が可能。
3.研修協力機関 (相互に協力)
- 東邦大学医療センター大森病院消化器内科
- 済生会横浜市南部病院消化器内科
- 済生会神奈川県病院内科
- 済生会平塚病院
- 済生会若草病院
4.学会認定指導施設
- 日本内科学会、日本消化器病学会、日本肝臓学会、日本消化器内視鏡学会(以上当科関連のみ)。
- 消化器病学会専門医(内科認定医取得後3年、会員歴4年以上)
- 消化器内視鏡学会専門医(指導施設で5年以上の研修)
- 肝臓学会専門医(5年以上の会員歴、7年以上の肝臓病学の臨床研修)
- その他にも他科関連で消化器病と関係の深い各学会認定指導施設認定多数あり。