はじめに
内科疾患において呼吸器疾患の占める割合は少なくない。呼吸器疾患の特徴の1つとして生命を左右する緊急性の高い疾患を多く含むこと、そして迅速な診断・対応・高度な技術と治療が求められる。日常診療において的確な病歴聴取と身体所見、検査所見から呼吸器疾患を鑑別し緊急性の判断、迅速な初期治療を学ぶことは呼吸器内科後期研修において必須事項である。
プログラムでは、3年間で内科臨床全般の幅広い研修と呼吸器専門医に求められる専門的知識・確実な技量の取得とを目標とし、他科との円滑な連携のとれるチーム医療の一員としてどこででも活躍できる呼吸器内科医としての基礎を固めることができる。
1.研修目標
A)一般目標
一般内科全般にわたる基本的な知識・技術・考え方を習得することにより内科診療に精通することが目標となる。
その上で、呼吸器専門医として必要な知識・技術・考え方をそれぞれの病態ごとに習得し、呼吸器系のX線、CT、MRI等の画像診断の読影、気管支鏡検査等の手技を確実に取得することにより、呼吸器診療に当たることができる医師の育成を目標とする。
B) 後期研修3年間の目標と研修内容
1)第1年次(卒後3年目)
原則として総合内科に所属し、一般内科を中心に研修する。病棟では上級医の指導下で担当医として診療にあたり、初期研修医の指導も一部担当する。
頻度の高い内科疾患を偏りなく受け持ち、可能な限りこの1年間で日本内科学会認定医申請に必要な各分野の症例を全て担当医として経験する。また院内で行われる症例検討会、各分野の抄読会、CPC には積極的に参加し、内科一般の知識を深める。学会活動は主に内科学会関東地方会および呼吸器学会関東地方会で症例報告を行い、報告した症例は上級医の指導のもと論文を作成する。
2)第2年次(卒後4年目)
呼吸器内科に所属する。呼吸器内科と外科とにより構成される呼吸器センター病棟で呼吸器疾患の診療にあたる。
病棟では呼吸器専門医の指導のもと、担当医として呼吸器患者の診療にあたる。胸部単純X線・高分解能CT ・MRI・超音波を用いた画像診断技術を習得する。気管支鏡・透視下肺生検・CT下肺生検などの研修を開始する。また人工呼吸器管理(NPPV含む)も習得する。 当直は一般内科医として行い、研修医の指導にあたる。院内では呼吸器センターカンファレンスに参加し、臨床研究テーマを決め指導医とともに研究準備にあたる。学会活動は呼吸器学会関東地方会、肺癌学会関東支部会、呼吸器内視鏡関東地方会で症例報告する。報告した症例は論文を作成する。
内科学会認定医を申請し受験する。
3)第3年次(卒後5年目)
呼吸器内科に所属し、呼吸器センター病棟および外来で診療にあたる。
主要な呼吸器疾患は全て経験しその診断・治療に精通する。気管支鏡、肺生検などの手技を確実なものとし呼吸器病学会専門医取得に充分な知識と技量を修得する。
総合内科の診療チームには呼吸器内科医の立場で参加し、診療と初期研修医、1年目後期研修医の指導にあたる。
臨床研究を行ない、呼吸器病学会総会、肺癌学会総会、呼吸器内視鏡学会総会などで発表できるようにする。
4)4~5年目(卒後6~7年目)
後期研修医としての研修(身分)は3年間で終了するが、希望により引き続き専修医(名称は未定)として2年間の呼吸器疾患を主とした研修を行なうことができる。身分は診療科常勤医員。3年間の後期研修をさらに進め、呼吸器内科医として臨床・研究を含め呼吸器病学をより深く研鑽する。
吸器センター病棟では中堅スタッフとして診療チームの中核となる。呼吸器センターの外来も担当する。
2.研修修了後のコース
1)後期研修の3年間修了後
前述の当院呼吸器内科専修医として2年間の研修継続が可能。
東邦大学呼吸器内科または他の済生会病院への推薦が可能。
他大学・医療機関への推薦が可能。
希望者には専修医として研修を行ないながら東邦大学医学部夜間大学院への進学が可能(学位取得可)
2)専修医修了後の進路
当院呼吸器内科スタッフ(選抜あり)
当院総合内科スタッフ(選抜あり)
東邦大学呼吸器内科または他の済生会病院への推薦が可能。
他大学・医療機関への推薦が可能。
3. 研修協力機関 (相互に協力)
東邦大学医療センター大森病院呼吸器内科
済生会神奈川県病院内科
済生会横浜市南部病院内科