消化器外科について
消化器外科について
済生会横浜市東部病院の消化器外科は各サブスペシャリティー(各専門領域:上部消化管【食道・胃・十二指腸】・下部消化管【結腸・直腸・肛門】・肝胆膵・救急外科)のスタッフ医師と10名の専攻医からなるチームです。当院での診断治療が、消化器疾患を患う全ての患者さんにとって「最良の選択」となるよう消化器内科とともに努力しています。
外来診療・入院診療ともに消化器内科とチームを組み「消化器センター」として総合診療を行っており、患者さんが内科か外科か悩むことなく受診していただけることが特徴です。また、当科は救急科とクロスオーバーして1ユニットとして診療を行っているため、休日や祝日、夜間においても切れ目のない診療を実現しています。
詳しい検査や高度な治療が必要となった場合にも、全ての診療科との領域横断的な連携のもとで、各々の患者さんに合った高度で安全な医療をご提供いたします。また、医師・看護師のみならず全職種による「チーム医療」を実践し、「患者さんの視点に立つ医療」「より低侵襲で安全な医療」「あきらめない消化器外科診療」をご提供したいと考えています。
TOPICS
・腹腔鏡下膵頭十二指腸切除術の施設認定を取得しました。(神奈川県下3施設目)
対象疾患 | 強み・特徴 | 診療実績 | 外来診療表 | 研究・業績 |
対象疾患
消化器外科では、良性・悪性を問わず様々な病気の診療にあたっています。東部がんセンターの消化器部門として、消化管・肝胆膵領域のがんに対する専門性の高い治療を行います。
臓器
|
対象疾患
|
食道
|
食道がん、食道裂孔ヘルニア、特発性食道破裂、食道アカラシア、食道粘膜下腫瘍など
|
胃・十二指腸
|
胃がん、消化管間質腫瘍(GIST)、十二指腸がん、胃・十二指腸潰瘍穿孔、胃静脈瘤など
|
大腸・肛門
|
|
肝臓
|
|
膵臓・胆道
|
|
その他
|
脾腫、後腹膜腫瘍、副腎腫瘍、小腸腫瘍
|
我われの強みと特徴
消化器疾患を患うすべての患者さんに
最良の選択をご提供します
患者さんが受診された診療科や担当医の違いによって、同じ疾患でありながら異なる治療方針を示されるようでは、最良の選択とは言えません。我々は、外科・内科の枠にとらわれず、消化器疾患を患うすべての患者さんの診療を担う「消化器センター」として、それぞれの患者さんに最もふさわしい医療を提供するように心がけています。このために日々、消化器内科、放射線科、病理診断科、救急科の各医師とカンファレンスを行い、それぞれの患者さんの診断・治療方針と予想される結果を十分に吟味しています。初診の患者さんの治療方針は、初診医の意見にとらわれず、消化器クラスターカンファレンスで様々な意見を取り入れ、チームとして病院として治療方針を提案してまいります。
超低侵襲手術から高難度手術まで
幅広い医療技術で患者さんに貢献します
当科では良性疾患から“がん”の手術まで、様々な疾患に対して外科手術を行なっています。県下有数のハイボリュームセンターとして非常に多くの手術件数を誇り、特に全国的にも早い時期から、患者さんに負担の少ない低侵襲手術である「腹腔鏡/胸腔鏡手術」を積極的に導入してきました。最新の技術であるロボット支援下手術にも特に力を入れており、2018年4月からはロボット支援下胃がん手術を保険診療として(初例は2013年9月)開始しています(TOPICS:ロボット支援下胃がん手術)。一方で、食道がんや肝臓がん、膵臓がんなどの難易度の高い手術を数多く行なっています。肝胆膵外科領域においては、県下に大学病院など11施設しかない、日本肝胆膵外科学会の認定する肝胆膵高度技能修練施設に認定されています(TOPICS:日本肝胆膵外科学会修練施設)。
領域横断的な連携でつくる「チーム医療」と
救急診療体制により安心できる医療をご提供します
我々は、患者さんの診療を行う際に担当医師・看護師のみにこだわらず、薬剤部、臨床工学部、臨床検査部、リハビリテーション部、口腔外科、栄養部、地域医療連携室、事務職まで、病院内の全ての職種による「チーム医療」のもとに、患者さんの視点に立った医療を実践しています。さらに患者支援センター(TOPS)が、受けていただく手術のリスク評価から、医療連携センター(退院調整室)と協同して、患者さんが安心して快適に治療を受けていただけるように外来そして入院から退院までサポートしていきます。また当科では特に救急科との連携を重要視しており、全国的にも少ない「救急科と(消化器)外科が1つのユニットとして」診療を行なっているという特徴があります。これにより、例えば手術を終えて退院後に急に具合が悪くなった場合でも、昼夜を問わず専門性の高い緊急対応が可能です。
診療実績
当科では予定・緊急手術を合わせて非常に多くの手術を実施しております。2019年の年間手術件数(NCD登録された手術総数※)は1,954件でした。腹腔鏡・胸腔鏡下手術を積極的に取り入れているのが当科の特徴であり、術後在院日数も比較的に短い結果が得られています。診療実績の詳細は消化管チーム、肝胆膵チームのページをご参照ください。
|
2013年
|
2014年
|
2015年
|
2016年
|
2017年
|
2018年
|
2019年
|
|
食道
切除 |
胸腔鏡
|
12
|
11
|
11
|
6
|
11
|
17
|
13
|
開胸
|
4
|
3
|
5
|
8
|
9
|
14
|
3
|
|
胃切除
|
腹腔鏡
|
62
|
75
|
61
|
78
|
82
|
75
|
61
|
開腹
|
65
|
60
|
67
|
43
|
32
|
29
|
14
|
|
大腸切除
|
腹腔鏡
|
91
|
101
|
110
|
123
|
149
|
135
|
142
|
開腹
|
159
|
125
|
149
|
117
|
66
|
59
|
67
|
|
肝
切除 |
腹腔鏡
|
8
|
7
|
5
|
12
|
14
|
12
|
25
|
開腹
|
27
|
26
|
51
|
26
|
33
|
22
|
17
|
|
膵
切除 |
腹腔鏡
|
0
|
0
|
0
|
0
|
0
|
3
|
10
|
開腹
|
17
|
17
|
31
|
30
|
30
|
33
|
46
|
|
胆嚢摘出
(良性) |
174
|
188
|
212
|
209
|
153
|
171
|
191
|
|
ヘルニア
手術 |
224
|
170
|
172
|
166
|
144
|
121
|
159
|
|
虫垂炎
手術 |
174
|
149
|
139
|
157
|
113
|
138
|
142
|
▲スマートフォンでご覧の方は左右にスライドすると表組み全体が表示されます。
※NCD事業について
当院では、患者さんの健康の向上ならびに臨床水準の向上のため、一般社団法人 National Clinical Database が実施するデータベース事業に参加しています。当事業に関するご質問は、ご遠慮なく担当医にお尋ね下さい。
外来診療表
|
月曜日
|
火曜日
|
水曜日
|
木曜日
|
金曜日
|
午前
|
江川 智久
|
山田 暢
|
西山 亮
|
清水 正幸
|
清水 正幸
|
風巻 拓
|
(化療外来)
|
廣江 成欧
|
|||
今井 俊一
|
平田 雄紀
|
ヘルニア外来
|
|||
ヘルニア外来
|
希少がん
(腹部・骨盤)
|
|
|||
午後
|
江川 智久
|
肛門外来※1
|
西山 亮
|
山崎 元靖
|
清水 正幸
|
胆石外来(予約制)※2
|
今井 俊一
|
松本 松圭
|
|||
|
|
平田 雄紀
|
|||
|
|
胆石外来※3
|
※1 肛門外来は13:00-14:00
※2 火曜日胆石外来(予約制)は15:00-16:00
※3 木曜日の胆石外来は13:00-14:00
食道・胃・大腸チーム
治療方針
あきらめない消化管がん治療
豊富な経験に裏打ちされた最先端の低侵襲治療
チーム医療による万全のサポート
特長1
豊富な選択肢
我々東部病院外科の食道・胃・大腸チームでは、早期がんに対する機能温存を重視した手術から、進行がんに対する高難度手術、そして化学療法(抗がん剤のことです)や放射線療法を組み合わせた集学的治療まで、多くの選択肢の中から最も適した治療法を提供できるように心がけています。
また、手術のアプローチ法としても、従来の開胸開腹手術、体への負担の少ない胸腔鏡/腹腔鏡手術、最先端のロボット支援下手術の中から最適なアプローチを選択しております。
特長2
安心の経験数
当院は神奈川県内でも有数の症例経験、豊富な手術件数があります。
特長3
チーム医療
当院では全ての消化器がん初診症例を消化器外科、消化器内科で合同カンファレンス(消化器クラスターカンファレンス:毎週開催)を行った上で診断・治療法方針を決定しています。さらに患者支援センター(TOPS)では、患者さんが安心して快適に治療を受けていただけるように、外来から退院までサポートしていきます。また、切除不能症例に対しても患者さんの状態に合わせて東部がんセンターにて化学療法や緩和療法などを施行しております。
受診から手術までのながれ
初診から入院まで
食道・胃・大腸チームでは、初診日から手術までの期間を2〜4週間とすることを目標としています。そのため、初診日にCT検査や場合によっては内視鏡検査を施行することで、腫瘍の浸潤範囲や切除適応を確認し、治療方針をその週のクラスターカンファレンスで決定いたします。そのため大まかな治療方針は翌週外来に受診して頂いた際に決定できます。
手術となった場合には、全身麻酔のために心機能、肺機能を検査し、患者支援センター(TOPS)を受診していただき、手術への準備を進めていきます。
入院
入院は通常手術の前日にしていただきます。手術当日は集中治療室もしくは準集中治療室にて厳重に管理させていただきます。手術直後から疼痛管理を行いつつリハビリを開始し、早期の退院を目指します。手術の内容や術後経過によって異なりますが、胃・大腸切除であれば7〜10日間、食道切除であれば14〜21日間で退院していただけています。
退院後
手術から約2週間後に退院後初回外来へ受診いただき、がんの進行度によっては術後補助化学療法を開始いたします。約5年間は定期的な採血検査・画像検査などを施行し外来通院していただきます。
診療体制
3名の消化管外科専門スタッフが診療責任者として全症例の手術・入院診療・外来診療にあたります。入院診療はレジデントとともに5〜6名のチームで担当します。
スタッフ紹介
施設基準
がん診療連携拠点病院
日本外科学会外科専門医制度修練施設
日本消化器外科学会専門医修練施設
日本食道学会食道外科専門医準認定施設
食道・胃・大腸 〜部位別の特徴〜
食道
あきらめない食道がん集学的治療
体への負担の少ない低侵襲治療
食道がんは悪性度の高いがんとされています。そのため、手術・放射線治療・化学療法・内視鏡治療のうち一つを選択する、というのではなく複数の治療法を組み合わせた治療(集学的治療)が必要となります。食道・胃・大腸チームでは、消化器内科や放射線科と連携して診療に当たり、最適なタイミングで最適なモダリティによる治療を提案しています。
また、体への負担が少ない胸腔鏡を用いた胸腔鏡下食道切除術を積極的に行っています。
胃
あきらめない胃がん治療
Conversion(コンバージョン)手術
手術ができないステージIVの胃がんと判断され、化学療法による治療が行われた場合でも、薬の効果によりがんが縮小して切除可能なステージとなる場合(ダウンステージ)があります。このとき行われる手術をコンバージョン手術と呼びます。
近年、薬物療法の進歩により、割合は少ないものの、コンバーション手術のケースが増えています。コンバージョンとは「転換」という意味で、手術可能な胃がんに対して化学療法でがんを小さくしてから計画的に手術を行う術前化学療法とは考え方が異なります。現在はまだ研究の段階ではありますが、ステージIVでもあきらめない、胃がんに対する新しい手術法として、注目されています。
食道・胃・大腸チームでは、基本的に手術のみでなく化学療法も外科医が担当しています。よって、コンバーション手術の適応や手術に踏み切るタイミングなどを手術を担当する外科医が主に判断できるという利点があります。

ダビンチ
ロボット支援下手術とは、手術支援ロボット(ダビンチ)を用いる腹腔鏡手術です。⼈間の⼿よりも緻密なロボットの動きで、安全・確実な⼿術が可能と期待されています。当院では、横浜市で初めてとなる2012年という非常に早い段階から、手術支援ロボット(ダビンチ)を導入しています。手術支援ロボットを用いた胃切除は、2012年より非常に限定された施設でのみ行われる先進医療に認定され、当院も先進医療の該当施設に選定されました。先進医療での短期成績では、腹腔鏡手術と比較して一部の合併症の発生率が低くなることが報告されました。この結果を受けて、2019年4月よりロボット支援下胃切除が保険適応となり、保険診療としてロボット支援下胃切除を受けていただくことが可能となりました。
保険適応になった現在でも、ロボット支援下胃切除を行うためには、さまざまな実施基準を満たさなければならず、施行可能な施設は限定されています。当院では、先進医療の段階からこの基準をクリアし、全国に先駆けてロボット支援下胃切除を行ってきています。
2020年5月までに40例のロボット支援下胃切除術を施行しております。
大腸
洗練された低侵襲手術
腹腔鏡下大腸切除
腹腔鏡手術とは、腹部にあけた穴からカメラや器具を挿入して、モニターを見ながら行う手術です。開腹手術と比較すると、体への侵襲や負担が少なく、術後の体の回復が早いとされています。
当院では、現在まで非常に数多くの症例を経験していおり、また、学会が定める内視鏡外科技術認定医という資格を持つ腹腔鏡手術に習熟した外科医が3名在籍し、多くのケースで腹腔鏡手術での対応が可能となっています。
あきらめない肛門温存
経肛門的直腸間膜切除術(TaTME)
下部直腸がんでは狭い骨盤に囲まれた場所での手術が必要となるため、一般に手術の難易度が高いとされています。その様な患者さんに対する術式として経肛門的直腸間膜切除術(TaTME )と呼ばれる方法が注目されています。TaTMEとは右図の様な特殊な器具を用いて、おなか側と肛門側から手術を行う方法です。この方法を併用することで、肛門から極めて近い直腸がんに対しより適切に手術が行え得ると考えており、特に究極の肛門温存手術とよばれる内括約筋切除術(ISR)での有用性が期待されます。
当院では2019年より同手術を開始しており、患者さんの根治性と安全性を考慮し適応を決定しています。
最先端の低侵襲治療
ロボット支援下直腸切除
手術支援ロボットを用いた直腸切除は、2018年4月よりロボット支援下直腸切除が保険適応となりました。当院では胃がんに対するロボット支援手術を2012年という早期の段階から開始しておりましたが、直腸がんに対するロボット支援手術を2020年5月より開始します。
詳細につきましては担当医までお問合せください。

サイバーナイフ
高度進行がん
再発・転移性大腸がんに対する
あきらめない集学的治療
患者さんの中には初診の段階では、根治手術が困難な方もいらっしゃいますが、そのような方には化学療法や放射線治療などの集学的治療を行っています。
下部進行直腸がんの方には、手術の前に化学療法と放射線治療を組み合わせて行う術前化学放射線治療と呼ばれる方法を積極的に行っています。これにより再発のリスクが低減できると考えられ、また結果的に肛門を温存できるケースがあります。
また、初診時に根治切除困難とされる多発転移を伴う患者さんでも化学療法にサイバーナイフとよばれる特殊な放射線治療を加えることで、積極的に手術を含めた根治的治療を行っております。
チーム医療による充実のサポート体制
スキンケア外来
直腸がんをはじめとする大腸がん患者さんの中には人工肛門(ストーマ)が必要となる患者さんもいらっしゃいます。当院には皮膚・排泄ケア認定看護師とよばれるストーマケアを専門とする看護師が3名おり、週に2回の外来を行っております。
スキンケア外来ではストーマの患者さんに対して、ストーマ周囲皮膚の定期的な観察やトラブル時のケア方法の指導のほか、日常的な相談を受けています。
肝胆膵チーム
治療方針 | 受診から手術までの流れ | 診療実績 |
診療体制 | スタッフ紹介 | 部位別の特徴 |
治療方針
あきらめない肝胆膵外科治療
ハイボリュームセンターでの肝胆膵外科専門医による治療
腹腔鏡下手術による低侵襲かつ正確な治療
チームによる細やかなケアと集学的治療
肝臓がん・胆道がん・膵臓がんは、非常に予後の悪い病気で、手術の難易度も高いとされております。当科では、肝胆膵高度技能専門医を中心に「あきらめない肝胆膵外科」をモットーに、これらの疾患に対して手術治療を中心に化学療法や放射線療法を用いて、高度な集学的治療を提供いたします。さらに肝臓がんや膵臓の良悪性疾患に対しては内視鏡外科技術認定医を中心に腹腔鏡下手術を積極的に施行しております。
当院は日本肝胆膵外科学会の認定する肝胆膵高度技能修練施設Aに認定されているハイボリュームセンターです。肝胆膵分野は手術だけでなく、診断や術前術後の管理が非常に重要とされています。当院では全ての症例を消化器外科、消化器内科でカンファレンス(毎週開催クラスターカンファレンス)し診断、治療法方針を決定します。
さらに患者支援センター(TOPS)が患者さんが安心して快適に治療を受けていただけるように、外来から退院までサポートしていきます。
また、切除不能症例に対しても患者さんの状態に合わせて東部がんセンターにて化学療法や緩和療法などを施行しております。
受診から手術までの流れ
初診から入院まで
東部病院外科では、初診日から手術のための検査が行えるよう、食事を摂らずに来院していただければ、初診日に腹部CT検査を施行することで、腫瘍の浸潤範囲や切除適応、術式などを確認します。
肝胆膵外科では初診日から手術までの期間を約2~4週間を目標にしています。その間にがんの診断や術式決定のためにMRI検査や内視鏡検査を施行します。また、全身麻酔のために心機能、肺機能を検査し、患者支援センター(TOPS)を受診していただき、手術への準備を進めていきます。
入院
入院は通常手術の前日にしていただきます。手術当日は集中治療室にて厳重に管理させていただきます。手術直後から疼痛管理の下リハビリを開始し、早期の退院を目指します。手術の内容や術後経過によって異なりますが、肝切除であれば7〜10日間、膵切除であれば10〜14日間で退院していただけています。
退院後
手術から約2週間後に退院後初回外来へ受診いただき、がんの進行度によっては術後補助化学療法を開始いたします。約5年間は定期的な採血検査・画像検査などを施行し外来通院していただきます。
診療実績
膵切除、肝切除が多く行われております。特に術後在院日数が比較的短く、腹腔鏡下手術を多く取り入れているのが当科の特徴です。合併症が少ないことが術後在院日数の短縮につながります。
肝胆膵全症例 103例(高難度手術 71例)
肝切除 42例(腹腔鏡 25例 59.5%)
膵切除 56例(腹腔鏡 10例 17.9%)
その他 5例
2019年 肝切除 42例(腹腔鏡25例 59.5%)
術式 |
症例数 |
腹腔鏡 |
葉切除 |
6 |
2 |
区域切除 |
1 |
|
亜区域切除 |
7 |
3 |
外側区域切除 |
4 |
4 |
部分切除 |
20 |
16 |
胆道再建を伴う |
||
葉切除 |
2 |
|
S4a+S5切除 |
2 |
2019年 膵切除 56例(腹腔鏡10例 17.9%)
術式 |
症例数 |
腹腔鏡 |
膵頭十二指腸切除術 |
32 |
|
膵体尾部切除(D2郭清) |
17 |
6 |
膵尾部切除(郭清なし) |
5 |
4 |
膵全摘術 |
2 |
2019年 術後在院日数 術後在院死亡・90日以内死亡なし
術式 |
術後在院日数<中央値> |
肝切除(胆道再建除く) |
7 |
膵頭十二指腸切除 |
11.5 |
膵体尾部切除 |
9.5 |
診療体制
2名の肝胆膵外科専門スタッフが診療責任者として全症例の手術・入院診療・外来診療にあたります。入院診療はレジデントとともに4〜5名のチームで担当します。
スタッフ紹介
施設基準
日本胆膵外科学会高度技能医修練施設A
日本外科学会外科専門医制度修練施設
日本消化器外科学会専門医修練施設
日本肝臓学会認定施設
日本胆道学会認定指導施設
日本膵臓学会認定指導施設
肝臓・膵臓 〜部位別の特徴〜
肝臓
1 腹腔鏡下肝切除術
腹腔鏡手術は、いくつかの穴(5~12㎜)をあけてお腹の中をふくらませ、その穴に器具を出し入れする筒を設置して、その筒を通してお腹の中を小さいカメラ(腹腔鏡)で観察しながら専用の手術器具を挿入して行う手術法で、開腹手術に比べて体にやさしい低侵襲な手術として知られております。当科での腹腔鏡下肝切除の術後在院日数は6日となっており、開腹手術に比べて短い傾向にあります。

術前シミュレーション
また、最近ではCT画像データをもとにした3D画像を作成し、手術前にシミュレーショ画像を作成し、手術の際に利用しております。
すべての患者さんに腹腔鏡下肝切除が適応されるわけではなく、手術においては患者さんの根治性と安全性を第一に考え、開腹手術が適しているのか、それとも腹腔鏡手術の方が良いのかを判断しております。
2 ICG蛍光法併用腹腔鏡下肝切除術
Indocyanine green(ICG)と言われる薬剤を注射することにより、ICGの蛍光特性を利用し、肝臓を手術中に染色することができ、切離範囲を同定することができます。近年このICGを利用した腹腔鏡下肝切除術が普及しつつあり、当科でもいち早く導入し、手術時に利用しております。
3 肝細胞がん、転移性肝がんに対するサイバーナイフ

肝細胞がんへのピンポイント照射が可能/治療期間は1週間前後/消化器内科と連携
サイバーナイフは、ロボット型放射線治療装置で、従来の方法では照射できない患者さんにも優れた効果が期待できます。当院でも平成23年4月にサイバーナイフが導入されました。
様々な領域のがんに利用できるのですが、当科では消化器内科、放射線治療科と協力し、手術とサイバーナイフを組み合わせたりすることで、肝細胞がんなどの肝腫瘍に対して様々な治療を施行しております。
4.経皮経肝門脈塞栓術(PTPE)
術前門脈塞栓術は、大きく肝切除術を行う際に、手術数週間前に残る予定の肝臓を肥大させることにより、手術の後の肝不全を予防する処置になります。
切除予定の肝臓を栄養する血管(門脈)を塞栓し、残る肝臓へより多くの血液が流れるようにして、肝臓を大きくさせます。この処置を行うことにより、手術後の肝不全を予防でき、患者さんが安全に手術を受けれるように努めております。
膵臓
1.腹腔鏡下膵切除術
肝臓と同様に膵切除においても腹腔鏡手術を行っています。開腹手術に比べて傷も小さく、体にやさしい低侵襲な手術です。肝臓と同様に、もちろんすべての疾患に適応があるわけではありませんが、安全面においても腹腔鏡手術が可能であれば積極的に施行しております。
2.腹腔鏡下膵頭十二指腸切除術
済生会横浜市東部病院外科では肝胆膵領域の高難度手術、消化器癌に対する腹腔鏡下手術を多数施行しております。(日本肝胆膵外科学会 高度技能専門医指導施設A認定)。当科では平成31年8月に腹腔鏡下膵頭十二指腸切除術の施設認定を取得しました。この腹腔鏡下膵頭十二指腸切除は限られた施設のみ施行可能な手術で神奈川県下では3施設目となります。
膵頭十二指腸切除術は多くの臓器を切除し再建が伴うため、患者さんに与える影響が大きな手術ですが、腹腔鏡下膵頭十二指腸切除術によって患者さんの身体の負担を軽減する可能性があります。
腹腔鏡下膵頭十二指腸切除術の施設基準は①膵臓手術を年間50例以上施行していること、②膵頭十二指腸切除術を年間20例以上施行していること、③腹腔鏡下膵切除を20例以上実施した経験を有する医師が常勤すること、と厳しい基準になっています。当施設では施設基準を満たしており、保険診療にて腹腔鏡下膵頭十二指腸切除術が可能です。現在、この手術の適応は「原則として脈管の合併切除及びリンパ節郭清を伴わないもの(がん以外の疾患に対する手術)」となっております。
3.膵がん早期診断プロジェクト
当院では、がん診療拠点病院として、膵がん早期診断プロジェクトを立ち上げました。膵がんにおいては、症状が出現したときにすでに病気が進んでいて、手術ができない患者さんが多いことが特徴です。そのため手術が可能な段階での早期発見、早期治療を目指すことが重要とされています。
膵がんプロジェクト
当院では、がん診療拠点病院として、さらにがん診療の充実に力を入れて地域医療に貢献していきたいと考えております。この度、その一環として「膵癌早期診断プロジェクト」を立ち上げることにいたしました。膵癌は我が国においても年々増加しており、2016年の日本の癌死亡数は胃がんに続いて第4位となっております。さらに膵癌の予後は極めて不良であり、2006年~2009年に診断された膵癌の5年相対生存率は7.9%と報告されています。予後不良の大きな理由の一つとして挙げられるのが、症状が出現したときにすでに病気が進んでいて、治癒が期待できる唯一の治療法である手術が不可能となることが多いことです。そのため手術が可能な段階での早期発見、早期治療を目指すことが何より重要となってきます。
膵癌のリスクファクターは、膵癌の家族歴、慢性膵炎、症状の出現(背部痛、体重減少、黄疸)、新規糖尿病発症、糖尿病の急激な悪化、腫瘍マーカーCA19-9高値、血清AMY高値、肥満、喫煙などが挙げられています。これらのリスクファクターを地域医療連携の先生方と共有しリスクファクターを有する患者様を効率的に拾い上げ、発見、治療する体制を確立することが求められます。当院ではそのために「膵癌早期診断プロジェクト」を立ち上げ、よりスムーズに検査を受け治療ができる取り組みを整えております。
貴院にて膵癌早期診断プロジェクトに該当する患者さんがいらっしゃいましたら、当院地域連携室(直通045-576-3546)に御連絡いただければ、受診日当日に採血・MRCP・結果説明が1日でできるように予約を取らせていただきます。
また、切除不能膵癌に対しても化学療法や緩和医療などの診療を引き続きしてまいります。是非、地域の先生方と協力し横浜市の膵癌の治療成績を改善したいと考えております。検査が必要な患者様がおられましたら御紹介頂ければ幸いです。御指導、御鞭撻を心よりお願い申し上げます。
消化器外科 部長 江川智久
消化器内科 部長 中野 茂
消化器外科 医長 西山 亮
スタッフ紹介
副院長 |
専門分野 |
上部消化管外科(食道・胃) |
|
特に専門としている分野 |
|
食道がん・胃がんの鏡視下手術、ロボット支援下手術、消化器がん化学療法 |
|
学会専門医・認定医 |
|
日本外科学会 専門医・指導医 |
|
医長 |
専門分野 |
一般・消化器外科 |
|
特に専門としている分野 |
|
肝・胆・膵疾患 |
|
学会専門医・認定医 |
|
日本外科学会外科専門医 |
|
医長 |
専門分野 |
一般・消化器外科 |
|
特に専門としている分野 |
|
下部消化管 |
|
学会専門医・認定医 |
|
日本外科学会専門医 |
|
医長 |
専門分野 |
一般・消化器外科 |
|
特に専門としている分野 |
|
肝・胆・膵疾患 |
|
学会専門医・認定医 |
|
日本外科学会 専門医 |
|
医員 |
専門分野 |
消化器外科 |
|
特に専門としている分野 |
|
上部・下部消化管、腹腔鏡手術、消化管内視鏡 |
|
学会専門医・認定医 |
|
日本外科学会専門医 |
|
シニアレジデント |
専門分野 |
一般・消化器外科 |
|
学会専門医・認定医 |
|
厚生労働省開催指針準拠 緩和ケア研修会修了 |
|
シニアレジデント |
専門分野 |
一般・消化器外科 |
|
学会専門医・認定医 |
|
厚生労働省開催指針準拠 緩和ケア研修会修了 |
|
シニアレジデント |
専門分野 |
一般・消化器外科 |
|
学会専門医・認定医 |
|
厚生労働省開催指針準拠 緩和ケア研修会修了 |
|
専攻医 |
専門分野 |
消化器外科、救急医学 |
|
特に専門としている分野 |
|
外傷外科治療 |
|
専攻医 |
専門分野 |
消化器外科 |
|
学会専門医・認定医 |
|
日本集中治療教育研究会 FCCSセミナー |
|
専攻医 |
専門分野 |
消化器外科 |
|
学会専門医・認定医 |
|
日本ステントグラフト実施基準管理委員会 ステントグラフト実施医 |
|
専攻医 |
専門分野 |
消化器外科 |
|
学会専門医・認定医 |
|
BLSプロバイダー |
|
専攻医 |
専門分野 |
消化器外科 |
|
学会専門医・認定医 |
|
厚生労働省開催指針準拠 緩和ケア研修会修了 |
|
専攻医 |
専門分野 |
消化器外科 |
|
専攻医 |
専門分野 |
消化器外科 |